頂を目指す二ノ姫U
□都大会開始!
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歓声と熱気に包まれる東京都大会会場
その空気をイラついた声が切り裂いた
「遅い…」
手に持った腕時計を握り締め、スミレはまだ来ないレギュラーに毒づいた
「何をやっとるんだいリョーマは!?」
『全く。予想はつくけど』
桜も腕を組んで落ち着かなげに指を動かす
視線はリョーマの姿を探して忙しなく動いていた
「8人そろって10時までにエントリーしないと失格だよ」
「困ったもんだ」
「大石はどうした。越前と連絡とれたのか?」
「いえ。まだ…」
すると大石が声を張り上げて走って来た
「お――い。越前から連絡があったぞ!!
何でも…子供が生まれそうな妊婦さんを助けて病院に寄ってたそうだ」
「…嘘だな」
「100%嘘だ」
使い古された嘘に桜の頬は引き攣り、桃城と海堂は呆れたように言った
桜はこめかみを押さえつつスミレを振り返る
『向かってるなら試合には間に合うわね』
「ああ。とにかく…エントリーしなくてはしょうがないねぇ…」
バックから"SEIGAKU"のロゴの入った帽子を取り出して、スミレは後ろに立っていた堀尾に視線を送った
リョーマに扮した堀尾のおかげで青学は無事エントリーを済ませ、リョーマもなんとか試合に間に合った
桜はホッと息をつき、腰に手を当てる
遅刻しているというのにリョーマは何故か泰然としていた
『やっと来たわねリョーマ』
「遅い!ハラハラさせおってバカ者が!!」
「コノヤロウ。帰ったら「校庭40周」と正座で説教だな!」
「痛いっス」
桃城に拳を押し付けられたリョーマはそう零した
桜は帰ったら本当に正座で説教をさせようと心の中で誓った
「説教は後だ。試合に出る準備をしろ」
手塚に言われたリョーマはコートへ歩き出した
その姿は自信で溢れている
「よし、行け越前!!緒戦全勝で行くぞ!!決めてこい!!」
『しっかりね』
「ウイッス」
帽子を被り直したリョーマは相手を見据えて不敵に笑った
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