頂を目指す二ノ姫Ⅱ
□大石と菊丸のダブルス
2ﾍﾟｰｼﾞ/4ﾍﾟｰｼﾞ
赤澤の打つブレ球に苦戦する菊丸
その表情は苦しげに歪んでいる
『(確かにきついわ)』
菊丸やリョーマほど動体視力が優れているわけではない桜でも頭が痛くなってくるのだ
彼の負担は桜の比ではないだろう
「菊丸にとって赤澤のあの技は天敵みたいなモンだ」
『―――というより、聖ルドルフマネージャーの周到な英二対策よ』
視線を寄越す観月を桜が無感動に見つめ続けた
「うーん。それにしても敵ながら狙いどころがなかなか」
『ええ。否定できないわね。私でもそうするだろうし』
「そっスね」
「か、感心してる場合じゃないっスよっ
やばいんじゃないっスか！！」
不二は柔らかく笑って菊丸を見て言った
「英二は逆に燃えてるみたいだ
あの二人が何て呼ばれてるか覚えてるよね」
「え？」
「まだまだこれからだよ」
『ﾌﾌｯ。そうね』
それはある日の練習時の出来事
『今日はダブルスの強化練習をするわよ
桃・リョーマ
秀・英二
コートに入って！！』
呼ばれた４人はダブルスを組んでコートに入った
パートナー同士繋がれた状態で
「…何っスかこのロープ？」
『このヒモを付けたまま試合形式で練習してもらうのよ』
そう言った桜に桃城とリョーマは余裕そうだが、大石と菊丸は不敵な笑みを浮かべていた
「おいっ越前引っ張んなっつーの！！」
「うっ、引っかかった！！」
試合が始まると、桃城とリョーマの相性の悪さとロープにより、絡まってひどい状況だ
ボールを打ち返すどころか動くことさえままならない
「「((…くっそ～～～))」」
『あらあら。初めの態度はどこにいったのかしら』
「…桜もいい性格してるな」
桜の隣にいた乾が思わずそう零すほど桜はいい笑顔を浮かべていた
対する大石・菊丸ペアは
「あ」
「菊丸ビーム」
ジャンプした菊丸とロープが絡まないように引っ張った大石
２人のコンビネーションは絶妙で、あたふたしているリョーマと桃城のコートにボールを難なく打ち返した
「おお―――っさすが青学ゴールデンペア！！」
『さすがね。ヒモが全く絡まってない』
「だな」
「あれが大石のテニス…」
不二は歓声を上げている１年生ズに話しかけた
「コート全体を見渡し
広い視野と堅実なプレーで試合の流れを読みながら
相手の隙を見つけてゲームメイクする
もちろんヒモなんか絡ませない」
「だから菊丸先輩があれだけアクロバティックに攻められるんですね」
「うん」
『頼もしい限りだわ』
.