頂を目指す二ノ姫U

□新たな武器
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赤澤は必死にオーストラリアンフォーメーションの対策を練っていた


「(前衛が動いて空いたスペースに大石が飛び込む作戦か!!
今度はどっちだ!?右か左か!?裏をついてやる!!)」


そう意気込むが、菊丸は一歩も動かない


「ちっこざかしい(しまった!!力んじまった!!)」


「《ネット》」



赤澤の打ったボールはネットを越えなかった
そのことに赤澤は愕然とした


「(読まれてる!!こんな奴等に翻弄されるなんて…)」


赤澤はラケットを強く握り締め、大きく吠えた





ぬああ――っ!!





突然の赤澤の絶叫に桜はビクッと肩を揺らした
リョーマはそんな桜を横目で見上げる


「…大丈夫っスか?桜先輩」

『………ええ』

「赤澤君も試合慣れしてるからね
自分の頭の熱気を放出させて気分を落ちつけたんだよ…」

『だからっていきなりやらないでほしいわ…』


桜は胸元を手で押さえて溜息を吐いた


「でもあの前衛がかがんでサーブするアレ…
一見スキだらけなのにルドルフ側はやりにくそう」

「ふーん…見たことないね」

『それはそうよ』

「あれが難度の高い変形フォーメーション


オーストラリアンフォーメーション


前衛ポジションを通常と変えることによりスキを作り、予測不能な動きで翻弄する


『あの2人の息のあったコンビネーションのなせる技…だもの』


乾と桜の説明に青学サイドは大いに沸いた


「さすが黄金ペア!いけるよ!!!」


しかし桜は興味深げに赤澤と金田を見た
顎に手を当てて小さく唸る


『(なーんかやってくれそうな気がするわね……)』


すると赤澤と話していた金田がいきなり大声を上げた



ばか澤コノヤロウ!
敵はダブルスで来てるんだっ!!!
今はシングルスじゃないんだコノヤロウ!!




「!?」

『…………』

「なんだとコラ金田。ウルァ〜!!」

「すっすいませ〜ん」


一瞬にして静まり返ったコートで赤澤の怒りの声と、金田の情けない謝罪の声だけが響き渡った


『(…空気が……変わった……)』


桜は目をスッと細めた



「《サッ…30−0》」



大石がサーブを打ったと同時に金田は後ろへ下がった


「み、見つけましたっ!!」

「(あいつ一歩さがって…)」

『(見抜かれた…)』


ボールは緩い弧を描いてコートの外に落ちた



「《…ア、アウト》」


「ふ――っ危ねぇー!!」

「よしラッキーたすかった!!」

「大石…」

「ああ。見極めてロブを狙ってきた」


大石と菊丸は冷静な目で金田を見た


「おもわぬ伏兵がいた…」










「んー大石君
そっちに天性のダブルスプレイヤーの君がいるように、こっちにも君と同じタイプのプレイヤーがいるんだよ
神崎さんも覚えておいてほしいですね」

「観月…」

『(天性のダブルスプレイヤーか。残留組の意地か)』


桜は観月の言葉に腕を組んだ


『(お互いに切磋琢磨し合う……
面白い試合にはなってきたけど…でもあまりいい予感はしないな……)』

「ロブを上げる!サポート頼むぞ!!」

「はっはい!!」

「……勝負どころだね大石」

「そうだな」






→atogaki
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