頂を目指す二ノ姫U

□底力
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コートでは大石が菊丸の分まで動いていた


「あと二球」

「あと二球」

「あと二球!!」

「菊丸先輩さえ復活してくれれば…」

「(無駄無駄。もう完全に足が止まってますよ菊丸君
計算よりねばってくれたけどね)んふ」


「《40−0》」





いよいよマッチポイントだぁ!!





「あと一球!!」

「あと一球!!」


会場は完全にルドルフ勝利の空気になっていたが、大石だけは諦めていなかった
どんな球にも喰らい付いていく


「あいつ一人で粘ってるぜ!!」

『秀一郎!!』


桜はフェンスを握り締めていた


「(2対1になっても最後まで戦うその姿勢に敬服します。大石さん)
だからこそあなた方に勝ちたい」


金田はドロップボレーを繰り出した
それを大石が読んでボールを拾うが


『深追いしすぎよ…ワナだわ。そこには…』

「んふ」

「(しまった)」

終わりだ大石


ネットには赤澤が詰めていた
彼は跳びあがって強烈なスマッシュを打った


「(く、くそう…)」


苦悶の表情を浮かべてボールを追う大石

しかしその背後を人影が通り過ぎた




ドッ




「《40−15》」



人影は水平に飛んでボールを相手コートに叩き返した
桜はハッとしてマジマジとその人影を見つめた


「おわああっ」

「よっ」

『英二!!』

「き、菊丸先輩が…」





大石お待たへ!
充電完了だよ――ん






そう言って菊丸はにっこりと笑って片目を瞑った


「菊丸先輩ー!!うわあぁぁん」

「ほいほーい」

『英二!』

「にゃははっ。ただいま桜!!」


思わず叫んだ桜に菊丸はピースサインを寄越して、桜もピースを返した


「回復した!!?まさかあえて2ゲームを捨ててこのために…!!」


大石と菊丸はハイタッチを交わした
汗だくの大石は安堵したように言う


「もう間に合わないかと思ったよ
さあラスト。反撃開始だ」



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