頂を目指す二ノ姫U
□底力
2ページ/6ページ
コートでは大石が菊丸の分まで動いていた
「あと二球」
「あと二球」
「あと二球!!」
「菊丸先輩さえ復活してくれれば…」
「(無駄無駄。もう完全に足が止まってますよ菊丸君
計算よりねばってくれたけどね)んふ」
「《40−0》」
「いよいよマッチポイントだぁ!!」
「あと一球!!」
「あと一球!!」
会場は完全にルドルフ勝利の空気になっていたが、大石だけは諦めていなかった
どんな球にも喰らい付いていく
「あいつ一人で粘ってるぜ!!」
『秀一郎!!』
桜はフェンスを握り締めていた
「(2対1になっても最後まで戦うその姿勢に敬服します。大石さん)
だからこそあなた方に勝ちたい」
金田はドロップボレーを繰り出した
それを大石が読んでボールを拾うが
『深追いしすぎよ…ワナだわ。そこには…』
「んふ」
「(しまった)」
「終わりだ大石」
ネットには赤澤が詰めていた
彼は跳びあがって強烈なスマッシュを打った
「(く、くそう…)」
苦悶の表情を浮かべてボールを追う大石
しかしその背後を人影が通り過ぎた
ドッ
「《40−15》」
人影は水平に飛んでボールを相手コートに叩き返した
桜はハッとしてマジマジとその人影を見つめた
「おわああっ」
「よっ」
『英二!!』
「き、菊丸先輩が…」
「大石お待たへ!
充電完了だよ――ん」
そう言って菊丸はにっこりと笑って片目を瞑った
「菊丸先輩ー!!うわあぁぁん」
「ほいほーい」
『英二!』
「にゃははっ。ただいま桜!!」
思わず叫んだ桜に菊丸はピースサインを寄越して、桜もピースを返した
「回復した!!?まさかあえて2ゲームを捨ててこのために…!!」
大石と菊丸はハイタッチを交わした
汗だくの大石は安堵したように言う
「もう間に合わないかと思ったよ
さあラスト。反撃開始だ」
.