頂を目指す二ノ姫Ⅱ
□シナリオをブチ壊せ！！
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コートに突き刺さるかのように向かったボールはバウンドしてフェンスを飛び越えて木の中に消えていった
「すっげすっげー！！
上から打ちおろすようなショットだぜ！！」
「フェンスのむこうまで跳ねたぞ！」
強烈な一撃を喰らった柳沢は地団駄を踏んだ
「海堂の技に気をとられてた！くそっ
みすみす敵の必勝パターンを招いただーね！！」
「威力が…あがってる…！？」
木更津はコートに残ったボールの跡を見て信じられないように声を絞り出した
観月は苛立たしげに前髪をいじりながら険しい表情をしている
「(違う。大会前に予想した時の奴らの能力とは…
こいつら、試合の中で進化している！！)」
『(みんなの強みは、試合を通して成長するだけじゃない
試合の中で吸収し、成長する事でもあるわ
いくら事前に予想しても無意味よ。それは私にも言えることだけど…)』
いつか私もそれを思い知ることになる
桜は焦る観月を見つめて握った拳をもう片方の手で包み込んだ
『(テニスは…何が起こるか分からないから楽しいものよ
私みたいに、予想して予測して識るなんてつまらないわ。それは選手も同じこと
観月くん。いくら分析したとしても、みんなはデータじゃ測れないわ)』
「………暴れ足んねぇ……！！」
勇ましい表情の桃城を桜は頼もしく思った
「おお―――っまた出た！！」
「ブーメランスネイク！！」
「今度は海堂先輩だぁ！！」
「二人ともすごいよっ！！」
海堂と桃城は調子を取り戻していた
「やるじゃねーのマムシ」
「キサマの出番はもうねーよ」
憎まれ口をたたき合い、ついには胸ぐらを掴みあって喧嘩になる２人に桜は呆れ顔だ
しかしあれが桃城と海堂なのだ
仕方がない、と腕を組んで肩を落とした
「一件ミスマッチな組み合わせだが、狙い通り結果的には…
１＋１が３にも４にもなった」
『ええ。１年の頃からお互い意識し合っていたから相手の思考も読めるし…
いい結果になってよかったわ』
例えいつも喧嘩になる２人でも、お互いがお互いを一番認め合っているハズだ
とてもいい関係に桜は顔を綻ばせた
「《０－３０》」
柳沢がサーブを打った
「とんでもないかくし球持ってやがったな！！」
木更津が静かに呟くように言う
「ボールをさあ…センターに集めればポール回しは出せないハズ…」
そう言いつつ彼はボールを海堂の得意なコースに打った
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