頂を目指す二ノ姫U

□天才の弟
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「《準々決勝 聖ルドルフVS青学 シングルス3をはじめます》」



ネットを挟んでリョーマと不二裕太は握手を交わした


「今大会唯一の1年生…うち(ルドルフ)は青学の天才不二周助の弟だ」


それを聞いた裕太の眉間に盛大なしわが寄った


「(どいつもこいつも周助(あにき)周助(あにき)
桜さんだけだ
俺を"不二裕太"として見てくれたのは…

弟じゃねえ


俺は俺だ!!不二裕太だ!!)」


『(裕太……)』


青学にいた頃からいつも不二の弟として扱われてきた裕太
そのことに苛立ちと悔しさを持っていた裕太の思いがわかり桜は複雑な表情をした


『(…自分を見てもらえないのは……辛いわよね………)』


しかしリョーマは自分に背を向けてコートを歩く裕太に声をかけた
それも相手を最上級に苛立たせる言葉で


「ねえ





あんた不二先輩のなんだって」





「!!」


笑みを浮かべてリョーマはわざとらしく言う


「どっちの方が強いのかな。あー楽しみ楽しみ」

『(リョーマって…ほんと相手を挑発するの得意よねぇ……)』


桜はフルフルと怒りを抑えて震えている裕太を見て呆れて溜息を吐きだした
さすが青学の生意気ルーキー


「………ワザとだ」

「恐るべしルーキー…」


聖ルドルフにも呆気にとられるほどだった
















「《ザ・ベスト・オブ・1セットマッチ 聖ルドルフサービスプレイ!》」



試合が始まるないなや、乾が突然口を開いた


「練習試合で千葉代表の佐伯を圧倒したそうだ…」

「え?」

『ああ。そういえばそんなこと言ってたわね』


桜も頷いて乾を見上げた


「不二弟クンの対左利き選手との対戦成績…16勝全勝!
『左殺し』と呼ばれる訳だ」

「えっどうしてそんなに左に強いんですか!」

『本来左利きの選手はいつも当たる右利きの選手と比べて、打球も回転も全てが逆でやりにくいのよ
でも左の場合お互い同じよ』


疑問符を浮かべた1年トリオに桜が説明し、後を乾が引き継いだ


「だけど彼はそんな相手と戦っても戸惑わないぐらい
左利きの選手と練習試合を行って経験を積まされたらしい
その点越前はどうかな」


サーブを返すリョーマだが、その表情にはいつもの余裕さが若干欠けているようだ
相手の勢いに呑まれている様子もある



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