夜空を纏う四ノ姫

□夏祭り
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それからほぼすべての屋台から集金を終えた
集まったお金はかなりの額
潰した屋台も数知れず
随分とハードだった


『…それにしてもホントに凄いお金…
中学生が持つお金じゃないわ……』

「委員長、桜さん」

『あら、哲』


桜と雲雀の前に、風紀委員副委員長の草壁哲矢が走って来た
彼は若干息を乱して雲雀を見る


「委員長、例のひったくり犯を見つけました」

「…どこ?」


雲雀の目が獲物を狙う肉食動物の様にランランと光った


「境内の方に向かって行くのを目視しました」

「そう。じゃあ行ってくるよ
桜も来るかい?」

『…そうね。最近身体がなまってるし、行くわ』

「ん。じゃああとは任せた」

「へい」


そして桜と雲雀は境内に続く長い階段を昇り始めた
すぐに複数の声が聞こえてくる


『なんだか騒がしいわね。結構人がいるのかしら』

「…弱い群れは咬み殺す」

『(弱くなくても咬み殺すくせに)』


桜は呆れたように息をついた


『っと到着って……何この状況』

「……」


昇りきった先にはガラの悪い男が大勢、1人の少年を取り囲んでいた
なにやらただならぬ雰囲気である
しかも囲まれているのはツナだ

雲雀と桜は手始めに近くにいた男を叩きのめした
雲雀はもちろんトンファーで、桜は紅染戦歌でだ




バキッ




「うわ!!」

「うれしくて身震いするよ
うまそうな群れをみつけたと思ったら、追跡中のひったくり犯を大量捕獲」

『大丈夫?ツナ』

「ヒバリさん!!!桜!!!」

「んだっこいつらは」

「女の子ちょー可愛いんだけど」

「並中の風紀委員だ」

『(……五月蠅いわねもう)』


桜は男たちの煩わしい目線に顔を顰めた
その彼女の表情に気づいた雲雀は、彼らの視線から隠すように桜の前に立った
そして好戦的に口の端を吊り上げるように笑う


「集金の手間がはぶけるよ
君達がひったくってくれた金は風紀が全部いただく」

ああっ!?



「(またこの人自分のことばかり――っ!!)」



『(さすが恭弥だわ)』


桜は彼の背中に苦笑した
ツナの胸ぐらを掴んでいたリーダー格の男はツナを突き飛ばして雲雀を見た


「ムカツクアホがもう一人。ちょうどいい
中坊一人しとめるために柄の悪い後輩呼び過ぎちまってな」


そう言うと木の陰からゾロゾロと現れる武器を手にした奴ら
桜はムッと目を眇めた


「そこの女の子と遊びたいし、加減はいらねぇ!!
そのいかれたガキもしとめてやれ!!」

『(ああいう人たちって大体同じよね。遊ばないっての!)』


突っ込んでくる男たちに桜は悠然と紅染戦歌を開いた
ツナはその光景を見て青ざめた顔で言う


「ヒバリさんと桜でもこの数はヤバいんじゃ…!」


そう零したツナの眉間に、実はこの場にいたリボーンの死ぬ気弾が命中した



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