夜空を纏う四ノ姫

□夏祭り
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『フゥ…みんなお疲れ様』

「つ、つかれた……」


死ぬ気モードが終わったツナは盛大に息を吐いた
獄寺と山本も肩の力を抜く
雲雀はさっさと倒した男たちに近づいていった


「あっお金!!」


思い出したツナが声を発した時には、雲雀がひったくられたと思われるお金を回収していた
ツナは雲雀が丁度手にとった金庫を見て顔を真っ青にする


「雲雀テメー!俺達の売り上げを返しやがれ!!」

「それがねーと困るんだ。頼むぜ」


獄寺と山本に言われても雲雀はどこ吹く風だったが、不意に桜を呼んだ


『…なに?』

「……今日の風紀委員の仕事はこれで終わりだよ
これは今日の桜の報酬ね」


そう言って桜の手にツナ達の屋台の売り上げを乗せて、雲雀は背を向けて階段を下りて行った
桜は素直じゃない雲雀の態度に苦笑すると、呆気にとられているツナにはい、と渡した


『返してくれるって』

「え、あ、うそ!」

「ハハッ。サンキュー」

「ケッ」


なんだかよく分かっていないツナは戸惑いながらも桜から金庫を受け取った


『それにしてもボロボロね。3人とも』

「ハハッ」

「ヒバリのヤロー。俺達にまで攻撃してきやがった」

『ああ。だからか』


全身キズだらけ、おまけにツナは死ぬ気弾の影響で上半身裸ですごい状況だ
そのツナが地面に座り込んで少しだけ悔しそうに呟いた


「あ〜そういえば京子ちゃん達と花火見ようと思ってたんだ」

『花火?』

「うん。でもも〜まにあわないね…」


しかしこちらに近づいて来る小柄な人影に桜は笑みを浮かべた


「おーい」

「ツナさーん」

『京子、ハル!!』

「え!?なんでこんな所に?」

「オレが呼んだんだぞ」


驚くツナにリボーンが言った
ツナは目を輝かせてリボーンを見る


「リ…リボーンおまえ…」

「かんちがいするなよ
ここは花火の隠れスポットなんだ」

「おお」


ちょうど花火が上がり、桜は空に輝く光に目を細めた
すぐに消えてゆくそれはいくつも空に上がり、輝き、消えてゆく


『(華やかで、儚げで、綺麗ね)』

「あっ桜ちゃん!!」

「来てたんですね!」

『ええ。2人とも浴衣似合ってるわよ』

「桜ちゃんもすごい可愛い!」

「とってもプリティーです!!」


満面の笑顔でそういう京子とハルと一緒に腰をおろし、桜は花火を見続けた


『(平穏はそう長くは続かないけれど)』


今だけはこの平穏に浸っていたいと桜はそっと心の中で思った

ある場所での騒動を記憶として受け止めながら





→Un afterword
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