頂を目指す二ノ姫U

□ツイストスピンショット
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超ライジングだって…!?





裕太のショットに青学側もざわついた


「ツイストが効かないなんて…」

「跳ね上がった瞬間を狙ってはじき返したよっ」

『(随分鋭い球を打つようになったわね)』


桜は感心したように裕太を観察する
試合は完全にルドルフペースだと思われていた
しかし裕太は表情を崩さずにリョーマを見据えていた


「(越前リョーマか…
あえてツイストを打って俺のライジングを試すとは
桜さんが目にかけているらしいのも気になるし
たしかにこのルーキー。観月さんのいうとおり要注意だ!)」


気になって裕太は観月に視線を向けた


「そうだ裕太!越前をネットに出させるな」


腕を組んで観月は裕太の視線を受け止めた


「奴の強さはあのサーブとネットプレイにある
それと天性の一本足でのスプリットステップ…
これは何かと厄介だからね
それさえ封じれば裕太。お前は負けない
対左の経験の差というものを思い知らせてやれ

あいつにも…」


そう観月が目を向けた先には、弟の試合を真剣な表情で見つめる不二の姿
観月は余裕の笑みを浮かべて不敵に言い放った


「そしてこのボクがキミの…
もっとも尊敬してやまない兄さんを叩きのめしてやるから」















桜は裕太と観月、そしてリョーマを交互に見て少し唸った


『(……観月くんには悪いけど、みんなの厄介なところは試合をするごとに成長する事
あなたが何を思おうと、その通りにはならないわよ)』


桜はまたツイストサーブを打ったリョーマを見てそう心の中で呟いた





「いったぁ―――っ!!ツイストサーブ!!





「何度やっても同じだ
(俺のライジングはどんな変化も無効化する)」


しかし裕太が意気込んだのも束の間
リョーマは恐るべき速さでネットに詰めてボールを返した
これには裕太も、観月も瞠目する
桜は水を打ったように静かになった観客の中で嬉しそうに手の平を合わせた


『(フフッ。国光と試合した時よりも速くなってるわね)』


リョーマは沈黙した裕太に向かって口を開いた


「な――んだ………まだまだだね





もっと強い左とやった事あるよ





リョーマの不敵な笑みに桜も笑ってしまった
思い浮かぶのは木に寄りかかって堅い表情で試合を見ているであろう幼馴染だ


『(かわいい後輩ねぇまったく)』

「(俺よりもっと強い左とやった事があるだと…ふざけるな!!)」




ドッ




リョーマのリターンが決まり1ゲーム巻き返した
拮抗する力と力のぶつかり合いに桜も拳を握る



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