頂を目指す二ノ姫U

□ドライブB
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「《ゲーム青学4−3 チェンジコート!!》」



一旦ベンチに近づいた裕太に観月は声をかけた


「まだキミなら勝てるよ…


越前くんの左眼を狙えばね!


「(……え!!)越前の左眼を…狙え…?」


裕太は観月からの言葉に信じられないという表情をした
しかし聞き返す裕太に観月は平静を崩さず言葉を放つ


「越前はこの前の地区予選で折れたラケットがあたり左の瞼を切った
一度体験した恐怖はそうそう取れるモンじゃない。ましてや体は覚えてるハズ」


何も言わない裕太に観月は残酷なほど笑ってみせた


「んふ。裕太君どうしました
君の練習メニューに相手の左顔面を狙うのがあったでしょ?
ふふっ君は不思議がっていましたね
相手の弱点を攻めるのは立派な戦略…

さあ行くんだ裕太。何としても勝つ為に
こんなトコで負けていては一生弟のままだよ」


その言葉に裕太の瞳が揺らいだ

不二の"弟"で居続けることは裕太にとって最大の苦痛でしかない
不二裕太という存在を認めさせるために裕太はここまでやってきたのだ
だから観月の言葉に揺さぶられる

しかし、裕太にはそれとは別に2つの事柄が脳裏に浮かんでいた








「オレは上に行くよ」








「…オ、オレは」








『ねぇ、裕太』

「なんスか?桜さん」

『また、テニスしましょうね!』









その瞬間観月の目を真っ向から見返して裕太は口を開いた


「越前(アイツ)とは真正面からぶつからせて下さい」





真正面から!!





号令がかかり、リョーマと裕太はコートへと戻って行った
その様子を観月は睨みつけていた

どんな球を打たれても、裕太は負けじと返していく


「まだあきらめねぇ!!喰らい付いてやる!!」


不二はそんな一生懸命な弟の様子にやっと桜から手を離した


「ありがとう桜。ごめんね」

『いいけど……裕太。楽しそうね』

「うん。ああやって本気になれる相手に出会える事が…次のステップにつながる
今度ボクとやる時は更に強くなってるんじゃないかな……裕太」

『そうね。私も楽しみだわ』


桜は髪を撫でつけてそう口の端に笑みを浮かべた


「それにしても越前…不思議な奴だね」


にこっと笑った不二を桜は横目で見た


『戦ってみたくなった?』

「うん」



ドシュッ



リョーマのドライブBが決まり、その瞬間歓声が上がった



「《ゲームセット!!青学 越前リョーマ 6−3!!》」



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