頂を目指す二ノ姫U

□ドライブB
1ページ/4ページ




リョーマは裕太のツイストスピンショットを返すために走り込んだ


「こい越前っ!」


裕太は走り込むリョーマを迎えうつ
しかしライジングで返してくると思っていた観月はリョーマの行動に目を見開いた


「(おかしい!?越前の奴もう減速しないと跳ね際より…)」


更に前に出た!?


桜は面白そうに口を吊り上げた


『バウンドする前に叩くつもりかしら?でも……』

「あの沈んでくる打球をあの位置から打ててもチャンスボールが上がるだけだよね」

『ええ。強打すれば確実にネットだし、すくい上げればオーバー』

「どうする気かな越前」


不二はう〜んと思案顔をした
相変わらず手は繋いだままだ


『(汗かいてきてるんだけどなぁ……)』


一向に離す気のなさそうな不二に桜は困り顔だ
その間にもリョーマは落ちてくるボールに迫っていた


「(焦ったな!!俺のツイストスピンをダイレクトに返せる訳……)」


そう考えていた裕太の視界からリョーマの姿が消えた


「何っ消えた!?」

『あら!』





打球の下へスライディングでもぐり込んでる!?





リョーマは―のスピードを使って両足でスライディングし、タイミングを合わせてジャンプした
そしてそのまま下から掬い上げるように大きくラケットを振った


「あ――――っミスショットだ。でかすぎる!!」

「(フン強引なんだよ!その位置から強打すりゃ誰だって…)」

「あっはっは。場外ホームランだ―――っ!!」


しかし直線的にコート外に出て行きそうになる打球にもリョーマは慌てない





ドライブB…





「!」


すると打球は勢いよく下降しバウンドして2つの弧を描いた
桜も珍しく目を見開き沈黙した


「おいおい。今のまさか……」

『ドライブボレー…』


桜の呆気にとられた声に乾も驚きの表情を隠せず続ける


「それもスライディングとジャンプの威力を応用した連続技…
ドライブB………か」

『すごいわ。あれなら低く沈む打球だろうとお構いなしだもの』

「そうだね」


リョーマの新技に興奮する桜に不二が柔らかい表情で応えた
リョーマはスライディングの時に落ちた帽子を拾い上げて不敵に笑った


「これでツイストスピンは封じたよ!はいっどーする?」

「(なんて奴だ。不可能をモノともしない。むしろ楽しそうに…)」

「ねぇ」


リョーマは帽子を被りつつ裕太に声をかけた


「別にアンタの兄貴だけじゃないだろ!!強いのは」


裕太は何も言葉を発せずにリョーマを見つめた
リョーマはくるりと背中を向けて裕太に言い放つ


「アンタの目標は兄貴なんだろうけど





オレは上に行くよ





『(リョーマ……)』


裕太は何かを考えるように下を向いていたが、何かを決心したような表情でリョーマに向かい合った


「…フン。上に行くなんてのはオレに勝ってからにしろよ」

「もちろん!!」


リョーマも不敵に笑ってラケットを握り締めた
桜は試合を続行する裕太の顔を見て表情を綻ばせた


『(楽しそうね。裕太)』



.
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ