頂を目指す二ノ姫U

□奇妙なファーストコンタクト
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休日のある日


『………私こんなのばっかね……』


とある上空で死神姿の桜は顔を顰めてそう零した
眼下ではリョーマが中学生とモメていた
隅には朋香と桜乃も見える

ちょうど虚退治を終えた帰り道
見知った霊圧を感じてきてみればなぜかこんな状況だ
少し前にも同じようなことがあり、桜はハァと息を吐いた


『…ここって銀華中じゃない…
たしか貞治が偵察に行くって言ってた次の対戦相手……
リョーマわかってるのかしら?』


いや、わかっていないのだろう
リョーマは絡まれていた桜乃を助けただけなのだから

次々と銀華のテニス部を沈めていくリョーマに桜は苦笑いを浮かべた


『…リョーマの霊圧はまた上がってるわね
そろそろ全体的に対策を考えなきゃ
というか帰らないと…リョーマに見られちゃうし』


そうして桜は瞬歩でその場を後にした






















変わって午後、商店街
桜はここで待ち合わせをしていた
というのも今日はクラスメートの初瀬栞と買い物に行く約束をしていたからだ


「あっ桜ちゃん!!」


栞は手を振って桜に駆け寄った


「ごめん。待たせた?」

『いいえ。全然待ってないわよ。行きましょうか』


にっこりと微笑んで桜と栞は並んで歩き出した
不意に、栞はしたり顔で桜を見た
怯んだ桜は若干引き気味に口を開く


『…な、なに……?』

「この間見たよ〜桜ちゃん!
氷帝の男テニ部長の跡部君と一緒にいたでしょ!
いっやぁ〜桜ちゃんもさすがだねぇ!!」


彼女は女子テニス部のレギュラーで、だからか跡部のことを知っているようだ
それよりも桜は首を傾げた


『………さすがって?』

「そりゃあ"あの"跡部くんと付き合ってるってことだよ!
私はてっきり手塚くんかと思ってたんだけど」


桜は眉間にしわを寄せた


『……景吾とは付き合ってないわよ?』

「はれ?違うの??」

『そりゃあねぇ。景吾とはライバル校で何度か交流があったし
それに氷帝の部員のコーチングをしたこともあったから、それでよ』

「へぇ〜そーなんだ。じゃあ手塚くんは?」

『国光は幼馴染よ』


フーン、と納得のいかない表情をする栞に桜は嘆息した


『それに分かってるでしょ栞ちゃん
私は誰とも付き合う気も無いし、恋愛する気もないってこと』


すると栞はがらりと表情を変えた
年頃の女の子のような可愛らしさは消え、掴みどころのない飄々とした笑顔に


「うん知ってる。ごめんね桜ちゃん
最近楽しそうだったから、ちょっとからかってみた!」


その言い草に桜は呆れた顔を浮かべた


『何よソレ』

「いや〜…だってさ、あの人たちじゃん?
絆されるっていうか、惹かれてもしょうがないかな〜と思ったのよ
……私も少し危ない時があったし」

『…………』


目を伏せた栞に桜は口を閉ざした
確かに、彼女の言い分は一理ある
桜も何度となく全てを言ってしまいたいという衝動に駆られたか知れない



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