頂を目指す二ノ姫U

□明日のために…恐怖のペナル茶!!!
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都大会後半(準決勝 決勝)前日―――



桜はストップウォッチを片手にランニングする部員を見ていた


『(なんだか最近貞治ったらスパルタね。私が言う事じゃないけど)』


ひーひー言いながら走る部員(主に1年生)を目で追いながら桜は隣でスミレと話す乾を見た


『(それもこれも銀華に偵察に行ってから。なにかあったのかしら?)』


とはいっても、乾が銀華に偵察に行った日はリョーマが銀華中をコテンパンにした日である
触発される様な事はないはずだが

そのリョーマは桃城と深刻な表情の河村と大石と走っていた


「越前。ケガの具合はどうだ?」

「大丈夫っスよ」

「そうか。明日が本番だからな。大事にならなくて良かった」

「そうっすね。心配かけやがって!」

「痛いっス、桃先輩」


リョーマの頭を帽子越しに強引にかきむしった桃城は大石に視線を向けた


「確か明日の準決勝の対戦相手は銀華中ですよね
乾先輩が偵察に行った」

「ああ。そして決勝は不動峰か山吹…」


山吹の名を聞いた途端リョーマの脳裏には亜久津仁の顔が浮かんでいた
昔馴染みらしい河村は沈んだ声で言った


「中学に入ってから悪いウワサばかり聞いてたけど…
まさかまたテニスをやり始めたなんて…」

「…また?」

「小学校の頃は名のあるコーチが付いてたみたいだからもの凄くうまいよ!
しかし何でまた今頃になって…」


走りながら喋っている部員に桜は意地悪い顔をした
わざとらしく笑みも浮かべている


『あら?みんな余裕あるみたいね』

「そろそろ給水ターイム!」


部室の前にテーブルを設置してそこに大量の紙コップを用意した
中身はスポーツドリンクだ。まだ…


「ぶは――ぁ、うめ――っ!!」

「たすかるよ二人とも
ランニングの途中スポーツドリンクが飲めるなんて!」

「充電完了っにゃんてね」

『どういたしまして』


嬉しそうな彼らに桜は笑って手を振った
しかしその笑顔の下に他の感情が隠されているのに気づいたのは幼馴染の手塚だけだっただろう
乾と桜というタッグがそれだけのはずがないのだ
桜はストップウォッチを見て笑った


『…59、60…』





「「「「くわぁ!!」」」」





後方から聞こえてきた奇声に部員の表情が凍りついた
桜は驚く彼らに見えるように、距離をとった乾を指でさした


「1周1分以上の人はコレ飲んでもらうよ!



ペナル茶(ティー)なんつって」



彼の持つ紙コップには真っ赤などろりとした液体が入っていた


「おいおいパワーアップしてねーか」

「ピ、ピッチ上げろーっ。あんなの飲んでたまるかよっ!!」

「ひぃ――っ!!」

『(うわぁ…)』


彼らの気持ちも分からなくない
自分だったら絶対嫌だと桜は表情を引き攣らせた
倒れた部員を介抱しながらその破壊力に身震いした



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