頂を目指す二ノ姫U

□3人のバケモノ
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『2回連続。これはもう確実ね』

「とんでもない事するなぁ。凄いね越前君」

「どーも」


感心したように言った不二にリョーマは素っ気なく返した
見ていた部員のうち、動体視力のいい菊丸が呆気にとられてコートを指差した


「あんなトコ狙うかフツー
おチビちゃんスマッシュの軌道を…ネットに当てて強引にズラしてんだぜ!」

『それで周助のスイートスポットを微妙に外す…か』

「狙って出来るモンなのか…?」


リョーマの神業に周囲は歓声を上げた
まだまだこれから面白くなってくるだろう
しかし時間を気にした桜に乾が話しかける


「桜。次の2人は運動後10分位がもっとも疲労がくるタイプ…」

『分かってる。桃。Bコートに入って。出番よ』


それを聞いた桃城は嬉しそうに手の平に拳を打ちつけた


「――うっし!!待ってました!!!」

『やる気まんまんね』


意気込む桃城を見て桜はクスッと笑った
対戦相手を知ったらどうなるか


「そりゃーそっすよ。越前ばっかりにイイ思いさせられねぇっスから
で、相手は誰っスか!?」


その時、青学最強の男が動いた





オレだ





首元を緩める動作をする手塚の目ははっきりと桃城に向けられていた





オレがやる!





目を見開く桃城をよそに手塚はジャージの上着を脱いで桜に渡した


「持っててくれるか」

『勿論』


桜は微笑して受け取り、丁寧に軽く畳んで片腕に持った
そして声を張り上げる


『その5分後にCコートで河村VS海堂!!
更に15分後にはDコートで大石VS菊丸の試合を開始するわ』


この紅白戦の狙いは至極簡単だ
普通全力疾走の後の疲労の溜まり方には個人差がある
それを考慮して、それぞれにとって一番負担の重い時間帯にどれだけ集中できるか
そのためのレギュラーの試合だった
なので必然的に同じくらいの時間帯同士が戦うことになる
手塚と同じ時間帯だったのは桃城だったのだ


「ウッソーこんな時に部長とかい」


さっさと歩く手塚に着いて行く桃城はニヤッと笑った


「まったく…ついてねぇな。ついてねぇよ」

「気合い入ってるな、桃のヤツ」

「そだね」


不二は移動する手塚と桃城を視界に捉えた


「手塚と桃…ちょっと見てみたい対戦だね」

「なら早く終わらせましょうか?」

「負けてくれるのかい」

まさか!!


そう言ってリョーマはサーブを放った
桜は手塚と桃を見送ってリョーマと不二の試合に目を戻した
あの2人を見るより、リョーマと不二の方のデータを取る方が先だった


『(…桃の課題はきっと国光が教えてあげるでしょうし
なにより桃は青学一の曲者だもの)』



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