頂を目指す二ノ姫U

□強敵!山吹中
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『何の話?』

「なんでもないっスよ
呼びに来てくれてありがとうございます桜先輩」

「あっ待ってよリョーマくん!」

「俺達に礼は無いのか!!越前!!」


元気に歩いていく1年生に桜はフフッと笑って後ろを振り向いた
唖然としている少年の前に腰を下ろす


『大丈夫?君』

「はっあ、いや大丈夫です………ってああ―――!!
貴女はもしや青学のマネージャー兼コーチの神崎桜さんですか!!」


身を乗り出すようにした少年に桜はええ、と笑った


「ダダダダーン!!光栄です!
憧れの神崎さんに会えるなんて!!」

『はじめまして。君は?』

「は、はい!!ボクは山吹中のマネージャーの壇太一です!!」

『山吹?』

「あ………」


しまった、と口に手を当てた壇に桜はクスクスと笑った
彼の反応が可愛らしくて笑ってしまう


『まさか情報収集?
リョーマをレギュラーだと知らずに本人のこと聞いちゃったとか?』

「………はい」


しょんぼりと肩を落とす壇は次の瞬間ハッとメモ用紙を見た


「あ、あの…これ……」

『………それ、リョーマに聞きだした本人の情報?』

「は、はい………」


桜の問いに壇はびくびくしていた
目を泳がせる壇の顔を見つめて桜は静かに言葉を紡ぐ


『……それは何のために?』

「……あ、亜久津先輩のためです
ボク…亜久津先輩の役に立ちたくて……」


壇の様子に桜はフーンと頷いた


『(なんだ。ちゃんと好かれてるじゃない)
いいわよ。それ持って行って』

「え!!」


顔を上げた壇に桜は曖昧に微笑んで見せた


『リョーマ本人がそれを君に教えたのなら私は構わないわ
でも亜久津君はそれ、受け取らないと思うな
彼、そんなことは気にせずに相手を叩きのめすことしか考えてなさそうだもの』


ふわりと立ち上がって桜は壇に片目を瞑って見せた


『亜久津君に言っておいて
ウチのルーキーは強いわよって』


そう言って背を向けた桜を壇は穴があくほど見つめていた


「(すごい綺麗で強くて的確で……マネージャーとして最高……)」


それが神崎桜の噂だった
マネージャーとして申し分ない存在
選手として尊敬している者も大勢いると聞く
現に、山吹にもそういった選手は数人いた
しかし本人は噂以上だと壇は思った


「(すごい綺麗で強くて侮れなくて

全てを見透かす目を持つ最高のマネージャー…

オーラが違うです)」


壇はグッと拳を握り締めた

そのまま壇に背を向けて帰ろうとしていた桜
しかし背後から聞こえてきた壇とは違う声に足を止めた


「へぇ……噂通り、いやそれ以上の人だね
青学のマネージャー兼コーチ」

『!!』

「せ、千石先輩!!」


振り向いた先に見えたオレンジ色の髪に桜は思わず息を呑んだ
しかし桜が思い浮かべた彼らとは違う



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