頂を目指す二ノ姫U

□強敵!山吹中
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腹痛を訴えて銀華中が棄権したため、都大会準決勝第2試合は不戦勝だった青学
労せずに決勝へと駒を進めた
決勝の相手は因縁の亜久津がいる山吹中
車の事故で棄権負けした不動峰が戦っていた相手だ


『(………亜久津君……ね……)』


先日助けてもらった亜久津は荒井やリョーマに怪我をさせた
それは許されるべきではないが、やはり複雑な気分だ


『(……あんなにおいしそうにモンブランを頬張ってたくせに……)』


ふてくされるように桜は心の中で呟いた
しかし頬張るという表現の仕方が亜久津に似合わないということには気付かない


「ええ〜〜っ。それ本当っスか乾先輩っ」


桜がムッとしている間、乾は1年トリオに山吹の説明をしていたらしい
思考の淵から戻った桜は頭を振った


『(いけない。今は集中集中…)』

「山吹中はとにかくダブルスの強いチームなんだ
ダブルスは昨年2組とも全国へ行っている
そしてシングルス3で千石がとる。これが山吹の必勝パターン」

ダブルス2組とも全国!?

「黄金ペア級のダブルスって事っスか!?」

「いや…」


言い淀んだ乾は背後にいた大石に目を向けた


「昨年3年の先輩と組んだ大石は惨敗
その相手ペアは今年も出てる


こちらを振り返らない大石の傍に寄って桜は彼の腕に手を触れた


『秀一郎?』

「……桜」


あまりいい顔色ではない大石に桜は柔らかく微笑んだ
肩を軽く叩く


『身体に力入ってるわよ
大丈夫。今回は英二とだもの。しっかりサポートして…
去年の二の舞にならないように何時でも冷静でね
そうすれば秀は負けないわ』

「…………ああ!」


力強い返答に桜はにっこりと笑った

山吹中は今年亜久津を入れたことによりシングルスを強化した
そのことに青学側に緊張が走る


「強敵だ…山吹中」










桜は時計を見てそろそろね、と呟いた


『もうすぐ始まるわね。リョーマを呼びに行ってくるわ』

「あっ桜先輩!」

「僕達も行きます!!」

『うん。じゃあ一緒に行きましょうか』


駆け寄って来た1年トリオと一緒に桜はリョーマが休んでいるであろう木蔭へと向かった

そしてほどなく、木に寄りかかって座っているリョーマを見つけた


「リョーマくん!!」

『リョーマ。時間よ』

「そろそろ行くけど」


彼の前には小柄な少年がいた
立ち上がるリョーマを見て瞠目している


「(リョーマ?あ、あれ?そういえばお尻にひいてたあの服…
青学のレギュラージャージに似てる…)」


その彼の前でリョーマはジャージを羽織った
SEIGAKUのロゴがしっかりと露わになる





「テニスは背丈でやるもんなんだ。フ――ン」





思わず頭につけているバンダナをずり下げる少年
彼を振り向きもせずリョーマはこちらに悠然と歩いてきた



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