頂を目指す二ノ姫Ⅱ
□全国クラスのダブルス
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「ポーチ！？南だ――っ！！」
「うまい！狙いすましたかの様な動きだ！！」
ポーチに出ていた南に天を決められてしまう
その素早さに栞は舌を巻いた
「速攻だったね～。しかも上手いな」
「あらかじめサーブのコースを指示し
リターンの返って来るコースをしぼり込んでポーチに出る」
「完璧なサインプレーだね」
『しかもあれだけ強烈なサーブを正確に打たれれば
わかってはいてもそこに打ち返さざるを得ない』
桜は腕を組んで息を吐いた
山吹中の千石はこのダブルスに満足そうだ
「(青学に行きかけた流れを堅実なワンプレーで引き戻したじゃん
地味だけどそつの無いああいうプレーが一番崩しにくいからな！
さすが山吹の№1ダブルス地味'Ｓ！！)」
「《ゲーム山吹！！０－１》」
「訳わかんないうちに先制されちゃったよ」
「教科書テニスは苦手なんだよね～嫌になるなぁ」
心底嫌そうに顔を顰めた栞に乾が笑った
「初瀬が試合してるわけじゃないけど？」
「それでもイヤなもんはいやー！！」
そう怒った栞に桜と不二はクスッと笑った
「いよっいいぞ――っ地味'Ｓ！！」
千石のかけ声にリョーマと桃城は声を揃えた
「「……地味'Ｓ恐るべし」」
「なにそのネーミング。かわいそ」
『とか言いつつ笑ってるけど？』
地味'Ｓに栞はかわいそうと言いながらも確実に笑っている
桜は呆れたように栞に言った
すると、千石がくるっと桜の方を向いて手を振って来た
「桜ちゃーん！！ね？ウチ強いでしょ！！
やっぱり山吹に来ない～？」
『！！』
「あのバカ…」
「「「「「「「何だって！！！」」」」」」」
会場中の目が自分に向いたのを感じて桜は咄嗟に栞を引っ張り乾の背後に隠れた
『……貞治が大きくてこんなに感謝したことないわ』
「……そうか」
「ってかなんで私まで？桜ちゃん？」
『つい引っ張っちゃった…』
「……千石が言ってた意味どういうこと？"やっぱり"って何？」
不二が目を開いて桜に問いかけた
それを間近で見て栞は表情を引き攣らせた
「(この人達の目が開いた所ってかなり怖いんだよ～)」
『…さっきなんか話しかけられて…
…デートに誘われたから断ったのよ
そしたら試合で勝ったら山吹に来ないかって言われた』
「大丈夫だよ不二くん。ちゃんとそれも即答で断ってたよ」
「そう…」
「「「デート！！！」」」
１年トリオの悲鳴のような叫び声は離れた場所にいた手塚の耳にも届いた
「(…………少し目を離すとすぐこれだ………)」
手塚は思わず頭を抱えた
乾と不二も目を座らせる
栞は雰囲気の変わった青学の部員に渇いた笑みを浮かべた
「(あ……愛されてるな～桜ちゃん
手塚くんにあんな顔させられるの桜ちゃんぐらいだよ…)」
コートにいる大石と菊丸も拳を握り締めた
というか目の奥が燃えている
「(桜は……)」
「(あげないもんね！)」
闘志を新たにゲームに挑むが、しかし南と東方のスキのないプレーに押されていく
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