頂を目指す二ノ姫U

□全国クラスのダブルス
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「《これより第2試合ダブルス1
山吹中 南・東方ペアVS青学 大石・菊丸ペアの試合を始めます!!》」



「青学ぅ――っ!!ファイオ――ッ!!」



「それそれ山吹!!それそれ山吹!!」



サーブは山吹中の東方からだ
それを難なく打ち返す菊丸
しかしそこから違和感が桜を襲った


『……あれは………』

「…なぁーんか大石くんを集中攻撃してるみたい?」


どこに打っても山吹は全てボールを大石に返す
昨年大石と先輩がやられた技だった


『(……徹底して秀を狙い、それを助けようと英二が動くのを待っている
去年はそれで秀がやられたけど………見くびられたものだわ)』


桜はフッと笑って大石を見た


『(青学のゴールデンペアの名は……伊達じゃないのよ)』

「(…桜ちゃんにスイッチ入れちゃった)」


栞はご愁傷様と苦笑いした
菊丸は狙われる大石を見て眉を顰めた


「くっそー。嫌みな攻撃しやがって…よぉし」





動くな―――っ!!英二!!





助けに入ろうとした菊丸を大石は大声で止めた
桜は口角を上げる


『(そうよ、秀。この1年間は決して貴方を裏切らない)』

「(ここはあせったら負けだ。彼らの狙いはオレじゃない
パートナーを引きずり出し、フォーメーションを崩すのが狙いだ!)」





『去年の二の舞にならないように何時でも冷静でね』





「(そうだ。今すべきことは――――冷静に対応することだ!!)」





ここで南の打った球がネットから少し浮いた
それをしっかりと見た大石がコートにラケットを擦らせる




カラカラカラ




「あれは…?」





ムーンボレー!!





大石の正確無比なショットがコートを抉った
フッと笑って大石は山吹を見据える





昨年と同じ技で倒せると思ったのかい?





「《0−15!!》」



「ナイス大石!!」


大石と菊丸のハイタッチに桜は両手を嬉しそうに合わせた


『去年の壁は自ら崩す…練習の賜物ね、秀』

「……真面目だもんね、彼」


先輩を敗者にしてしまったことを大石は悔やんでいた
でもそれだけではなく、彼はそれをバネに練習を重ねた
そして菊丸というパートナーとここまで登って来たのだ
その成果が目に見えるようだ


「でもあっちも全国区…」

『ええ。すんなりとは通してくれないわよね』

「そうだね」


栞と桜と不二は揃って頷いた

東方は前衛の南のサインプレーに豪快なサーブを打った


「(くっするどい!)」


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