頂を目指す二ノ姫U

□ラッキー千石
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「《シングルス3 山吹中 千石君………青学 桃城君の試合を始めます!!》」



千石の言い方にカチンときた桃城は千石を睨みつけた


「悪いスね。越前じゃなくて」

「いやっそーいう意味じゃないよ。ゴメンゴメン!
だってアレだろ。桃城君だっけ…?
ダンクスマッシュ打つんだってキミ。すごいじゃん!!」

「今さら遅いっスよ」


桃城はジト目で千石を見る


「そーいやアンタ、桜先輩にちょっかいかけてましたよね」

「ん?いやー君んとこのマネージャーさん噂以上だったからさ〜
気に入っちゃった」


真っ直ぐな目をした千石に桃城は眉間にしわを寄せた
その千石はバッと桜の方を向いて懲りもせずに大きく手を振った


「桜ちゃ――ん!俺が勝ったらデートして〜!!」

『(あの人、私の言ったこと全然理解してない)』

「(懲りないっていうか、めげないね〜
全くオレンジくんでもここまで違うんだ)」


桜はハァと息を吐いて桃城に視線を向けた


『桃!その人の事なんか気にしなくていいから、頑張って』

「そうだよ〜!!そんなナンパ男なんかぶっ潰しちゃえ!!」

「そりゃないよ桜ちゃ〜ん!栞ちゃ〜ん!!」

「コラ!君、試合を始めるよ」


審判に注意されてようやく千石は桃城に向き直った
桃城は怒り心頭といったように拳を震わせていた


「(ンのやろー……桜先輩になんつーことを……)」


そして苛立っていたのは桃城だけではなかった



桃〜!!勝て〜!!!


負けたらペナル茶だぞ――!!


…フシュゥゥゥゥゥ



「お〜コワッ…ま、やるしかねーな、やるしかねーよ
(ペナル茶はごめんだ!!)」

「(……アハハハ…すっごい形相だね〜みんな)」


桃城は青学側からの声にとにかく表情を一変させた
ペナル茶は余程堪えたらしい
栞は明らかな殺気に苦笑せざるを得なかった
先輩達の変わりようを見ていた1年トリオも冷や汗を流した


「先輩達…目の色が変わったよ…」

「すごい……」





「《…サーブ権を決めます…トスを》」

「ういーす」

『(やっと試合が始まるわね)』

「(お疲れだね。桜ちゃん)」


桜は肩を落として疲れたような溜息をついた
そんな彼女を労わるように栞は背中を軽く叩く


「フィッチ(どっち)?」





サーブをもらうよ





千石はえらく余裕の表情でそう宣言した
桃城がトスしたラケットの回る音が響く



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