頂を目指す二ノ姫U

□ジャックナイフ
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桃城と千石の試合は激しい展開を迎えていた
両者一歩も引かずに3−3


「アイツ精神的に強いな……
ダンクかませば崩れると思ったのに」


大きく息を吐いて千石はそう零す
しかし互角かと思われていた桃城はある苦難に立たされていた
ベンチに座っていたスミレはそれに気づいて顔を顰めた


「(い、いかん
左足がケイレンを起こしかけておる!!)」


桜も気付いて顔を歪めた


『(あの足じゃまともに試合なんか出来ない…)』


スミレもそう思ったのかベンチから腰を上げかけたが


「!」


口元に人差し指を当てた桃城に止められた
桜は渋い顔でベンチに腰を戻したスミレと桃城を交互に見た
なんとも無茶をしたがる桃城に腕を組む


『(まぁ疲労による一時的な筋肉のケイレンよね
程度は軽いようだけど………不利は変わらないわよ)』


声援を受けて桃城はケイレンする足をおしてコートへ向かった


『(それにしても……桃がケイレンを起こすなんて)』


この千石との試合はそれほど過酷だということだ
栞は彼の試合を見て眉間にしわを寄せた


「(……普段はあんなノリだけど…
それでもかなりの実力者…なんだよね)」


千石はラッキーなだけでここまで来たわけではない
ちゃんと裏付けされた実力を持っている
それが気に入らないのか栞は髪をぐしゃぐしゃとかきむしった


「あ〜。あのナンパ男の目がイラつくなぁ…」

『そうね。動体視力…か』


顔を顰めた栞と静かに呟く桜に1年トリオは首を傾げた


「動体視力…!?」

「動いているモノを見分けるあれですよね」

「リョーマくんや菊丸先輩が得意の……」


それを聞いていた乾は冷や汗を浮かべて口を開いた


「――いや。あいつらの比じゃない

「だよね〜。あの様子から察するに」

『千石くんには桃のスピードボールも



――――コマ送りで見えてるハズよ



桃が渾身の力で打った球を千石は難なく返した
しっかりとボールが見え、その軌道が分かっているからだろう



「《ゲーム!!5−3 山吹リード!!》」


「すごいねぇ…
桃城くんのスピードボールを完璧に捉えてるじゃん
侮れないなぁ千石くん」

『(―――…桃)』


桜が見つめる先の桃城は苦渋に満ちた表情をしていた
相当ケイレンした足が痛いのだろう


「いってぇ――――っしまった
完全にきちまった」


足を引きずる桃城は左足に目を落とす


「(どんどん攻め込んでくる!
こっちの心理は見透かされてる様だがあっちは全く見えてこねぇ
ガムシャラに攻めた結果がこのザマか…桜先輩に怒られるなこりゃ
なんにしても…強敵だ…)」


そして、とうとう周りが桃城の左足のケイレンに気づいた
千石も顔を上げる




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