頂を目指す二ノ姫U

□怪童
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亜久津は桜と栞の声に射殺しそうな鋭い目で2人を睨みつけた


「!!テメーら俺に指図すんじゃねぇ!!」

『フーン。そんなこと言うんだ…』

「いいのかな〜そんなこと言っちゃって」


桜は挑発するように口角を引きあげて、栞は意地悪くニヤッと笑って亜久津を見る
モンブランを食べに行った時のことをバラすぞ、と暗に脅しているのだ
別に言ってもいいとは思うのだが、彼自身があまり言われたくないらしいので効果はてきめんだ
亜久津は2人にケッ、と言っただけにとどまった
それを見た山吹は驚いていた


「あの青学マネージャーと女子…亜久津にあんなこと言ったのに…」

「亜久津が…黙った…?」

「…すごすぎだよ桜ちゃん…栞ちゃん…」


亜久津はジッと桜を品定めするように目を動かした


「テメー…青学のマネージャーだったのか」

『ええ。ちなみに栞は女テニレギュラーよ』

「それにしても、亜久津くんがまさか山吹の選手だったなんてさ
知らなかったよ」

「チッ…」


舌打ちをする亜久津に桜はそれより、と息をついた


『リョーマを待たせないで、試合を始めてね』

「………覚えてろよテメーら」

「う〜ん。無理かも〜?」


栞に一瞥を寄越した亜久津はコートにしっかりを立った
桜と栞は顔を見合わせて苦笑する


「………毎度桜には驚かされる」

「2人とも、あの亜久津と知り合いだったの?」


乾と不二に言われて桜と栞は頷いた
だがそれ以上を聞きたそうな2人に曖昧に言う


「まぁ……」

『ちょっとね…』


そう濁した2人に今度は乾と不二が顔を見合わせた























「《ザ・ベスト・オブ・1セットマッチ…越前サービスプレイ!!》」



リョーマはサーブを打つとネットに向かって走り出した
河村の注意を完璧に無視している


「サービスダッシュ!!」

「やる気だね〜越前くん」

「何だ。そのサーブじゃねーだろっ!!」


難なく返す亜久津に、リョーマはドロップボレーを繰り出す


「あまり俺をナメるなよ!」


と素早くボレーを拾った亜久津
しかしその亜久津の眼前に露わ得たリョーマがボールを彼の顔面に向かって打ち返した





ドライブA………





顔面に直撃した亜久津はコートに倒れ込んだ
桜は苦い顔でそれを見た


『至近距離からのドライブボレー』

「強烈だ」

「うっわ〜痛そ…」


乾も呆気にとられ、栞は口元を歪めていた
リョーマは悪びれもせずに笑いながら謝った



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