頂を目指す二ノ姫U

□怪童
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ガッツポーズを掲げた桃城に千石は何とも言えない表情だ


「あんな奴見た事ないぜ
左足をケイレンしておいて………

逆に強くなるなんてな」



「《ウォンバイ青学 桃城7−5!!》」



桃城は乾に肩を借りて戻って来た
苦痛に顔を歪める桃城に桜は呆れ顔だ


「いでで――っ」

『よくまあこんな状態で動けたわね』

「ハハハ…」

『笑って誤魔化さない!
だからいつも闇雲に突っ込むなって言ってるでしょう!』

「スイマセン」


桜はもう、と肩を竦めた
しかし何にしても2勝1敗
あと一勝で青学が都大会制覇である
地面に腰を降ろさせてもらった桃城はリョーマを見上げた


「お前またオイシーとこ持ってくんかい」


地区予選も決めたリョーマに対する言葉はリョーマの勝利を信じて疑わない
桜はそれに気づいてにっこりと笑った
しかし河村は心配そうな顔だ
亜久津の昔を知っているからこそである


「越前…あまりネットに近づかない方がいいよ
あ、亜久津は何をするか…」

「河村先輩。空手歴何年っスか?」

「え。6年だけど…」

「ふ――ん」

「え、越前。ちょっと…」


リョーマは河村の心配をよそにスタスタとコートへと向かった
栞はそれを見て苦笑した


「(さっすがだね〜。越前リョーマ…)」



「《では、これよりシングルス2を行います》」



「ひっ出た亜久津だ!!」

『(亜久津くん…)』


亜久津はラケットを振り、後ろに座る伴田に声をかける


「じ――さんよ。この試合に勝てばもういいよな」

「ええ」

「テニスなんかたいしたスリル感もねえ」


そう言ってラケットをリョーマに突きつけた





約束通り遊んでやろう





いーっスよ別に…





目を逸らさずにリョーマは亜久津を見る
桜と栞は顔を顰めた


「(…ホント笑っちゃうぐらい変わんないなぁ…)」

『(…随分と挑発的ね)』

「何だあのイカレ野郎は」


海堂も剣呑な目をした
審判は亜久津を指差す


「コラきみ!あまり挑発的な行動は慎み…!」


しかし凄まじい形相でガットをいじる亜久津の姿に押し黙った
完全に気圧されている審判を見て桜はフェンスを掴んだ





コラ!!亜久津くん!!審判を威嚇しないの!!





「さ、桜先輩!!」

「先輩何言って……!!」





そーだそーだ!!審判は威嚇しちゃだめでしょーが!!





「う、初瀬先輩まで!!」

「2人とも何言ってんですか!!」


周りが仰天するのを無視して亜久津に怒る桜と栞
大の大人でさえも慄く亜久津に対して命知らずな発言なのだが全く気にしていない



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