頂を目指す二ノ姫Ⅲ
□即席ダブルス
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ネットを挟んで相対した青学と氷帝
忍足は桃城を見て感心したように言った
「お前、ホンマにレギュラーやったんなあ？」
「…………」
「おい侑士！こっちの奴はアクロバティックで有名な菊丸だぜ」
「う」
向日に指をさされた菊丸は若干口を尖らせた
「上には上がいる事を教えてやるよ
桜の目の前でな」
「ちゅーことで、しっかり見とってな、桜」
向日は自身満々にそう言い切り、忍足は桜に目を向けた
桜はその視線を受けて腕を組んで片目を眇め、曖昧に笑って忍足の視線を受け流す
忍足もそんな桜の様子にクッと笑ってひらりと手を振った
「《ザ・ベスト・オブ・１セットマッチ 青学サービスプレイ》」
相変わらず氷帝コールが響く中、桃城はサーブを放った
ボールはかなりのスピードで忍足に向かう
「ええサーブ打ちよるなあ
だけど…打ちごろやんなぁ！！」
忍足に軽く返されたボールを桃城が拾う
すると、向日がネット際で高く飛び上がりボールを捉えていた
「でたぁ――っ向日先輩の月面返り(ﾑｰﾝｻﾙﾄ)！！」
『高いわね…英二より身軽さで言うならがっくんの方が上かな』
桜が呟くと同時に向日はボールを打ち返した
それにネコのように俊敏な菊丸が反応する
「ほいっとね」
ボールは空中にいた向日が反応できずに彼の脇を通り過ぎるが、そこはパートナーが黙っていない
「まかせとき岳人っ！！」
「いきますよ。大石先輩…」
忍足が打つ体勢に入るのと同時に桃城がポジションについた
「桃ちゃん先輩ナイスカバーだ！！」
『上手いわ、桃！！』
「あかん！」
「ロブだ。英二先輩の後ろへ逃げたっ」
菊丸が飛び上がるがボールには届かない
軽い音でボールがコートに落ち、ポイントが決まってしまった
「《０－１５！！》」
「ビビらさんといてえな。ダブルス出来るやん桃城」
「どーも
(言ってくれるぜ…
冷静に判断して英二先輩の死角を狙ってくるとは)」
『(やっぱり強いわね。急造コンビじゃちょっとキツイわ)』
このあと、菊丸のアクロバティックに触発された向日が怒涛の攻めを見せる
菊丸のアクロバティックは完全に封じられてしまった
「おい菊丸。もっと跳んでみそ」
桃城はこの状況の打開策を何とか見つけようとしていた
それが大石からレギュラーの座を、試合を託された桃城の役目だからだ
「(動きを封じてやる！！）」
『あれはジャックナイフ！』
「(桃城め。いつの間に…)」
ストリートテニス場で見ていた跡部も感嘆するそれを、向日は容赦なく返した
返されたボールを桃城が飛び上がりダンクスマッシュを打つが、
「返した！？」
不二の羆落としの態勢で、忍足はボールをまんまと返した
呆気にとられる周囲に同じ技を使う不二も目を見開く
不敵な忍足を目に映し、桜と跡部が同時に呟いた
『忍足侑士…』
「奴が氷帝の天才だ」
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