夜空を纏う四ノ姫2

□選ばれる役者
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翌日
ツナは2年ぶりに再会した父、家光に指摘されて自らの胸の辺りを見下した
そしてソレを目に焼き付けた
己の首にかかっている、昨日拒否した筈のボンゴレリング


「んなあ!?こ…このリングって…!!
ボンゴレリングとかいうあの恐ろしい〜〜!!?」


リングをつまみ上げ、ツナは白目をむいて叫んだ
家光は息子の様子に笑う


「なんだツナ?青い顔して
何でも相談にのるぞ」

「それどころじゃないよ!!」


リボーンの名を叫びながらツナは2階に駆け上がり自分の部屋に駆け込んだ


「おまえだな!?このリング首にかけたの!!」

「オレじゃねーぞ」

「ウソつけ!おまえ以外いないだろ!?」

「あいつから何も聞いてねーのか?」


リボーンの問いにツナは不思議そうに眉を上げた


「と……とにかく、オレカンケーないから!
まきこまないでくれよ!」

「何言ってんだ?カンケー大アリだぞ」


慌てるツナにリボーンはさも当然のごとく言い放った



ボンゴレリングは次期ボンゴレのボスの証だからな
























『で、強大な力が手に入るボンゴレ正統後継者の証であるそのリングを、
独立暗殺部隊ヴァリアーが狙いだしたという訳よ』


桜は歩く道すがら、昨日の出来事や事情を宍戸に話して聞かせていた
宍戸は難しい顔をして腕を組む


「そうか。俺も見ておきたかったぜ
……笹川さえいなきゃな…」

『……お疲れ様、亮』


心底疲れたように話す宍戸に桜は苦笑いした
了平のしつこさは天下一品物で、桜もその苦労は痛いほどよく分かる


「んで?そのヴァリアーだっけか
そいつらはまだ来ねーんだろ?」

『ええ。ただ何日も彼らの目を欺けるとは思えない
油断は出来ないわ』

「…油断せずにいこう……ってか?
ま、国光たちの方が油断出来ない状況だよな
連絡はまだ来てねぇよな?」

『ええ。彼らが着いたらすぐに知らせるって言ってたからね』


一ヶ月は会ってない彼の仏頂面を思い出し、桜はくしゃりと表情を緩ませた
宍戸はそれを見てフッと笑うと頭をわしわしと掻いた


「そういえば俺たちは今どこに向かってんだ?」

『廃病院よ。ボンゴレリングが配られたならきっとツナたちは来る』

「ふーん?で、俺は適当に話を合わせとけばいいんだな?」

『ええ』


実を言うと、桜は不安だった
昨日の今日で彼をリボーンやディーノに会わせる事が
しかしどうせいつかは会う事になるのだから早い方がいいだろう
そう思い直して彼を連れて来たのだ
一抹の不安に少し鼓動が速くなる


『…着いたわ』

「お、ここか」


中山外科病院を見上げた宍戸はひょい、と中を覗き込んだ
そこには予想通り先客がいた


「あ、宍戸さん!桜も!!」

「よう桜。宍戸先輩もおはよーございます」

「テメーらも来たのかよ」


制服を着たツナ、山本、獄寺に迎られて桜と宍戸も挨拶を返した


「よう沢田、山本、獄寺」

『3人ともやっぱりここにいたわね
ボンゴレリングのことでしょう?』


頷くツナは、ふんわりと笑う桜にハッとした
昨日から気になっていて、しかし聞けなかったことがあるのだ


「そういえば桜!!
昨日のあのロン毛と知り合いなの!?」

『ロン毛ってスクアーロのことよね?』

「スクアーロ?」

『さっき話したでしょ?ヴァリアーの』

「ああ。激強って奴だな」


腕を組んだ宍戸は桜を見た
桜はええ、と頷く


『私もボンゴレだからね。そりゃ顔を合わせるわよ
(それに……)』

「そ、そっか…」

『ええ…』


首を傾げるツナから桜は視線を逸らした
宍戸は微妙な空気に、山本がいじっている奇妙な形のリングを見た



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