頂を目指す二ノ姫V

□パワー勝負
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「《ザ・ベスト・オブ・1セットマッチ 青学サービスプレイ》」


そして始まった試合は、予想通りのパワー勝負となった



くらえっバーニング!!


い゙―――っ



河村のサーブをものともせず、樺地はボールを打ち返す
それをさらに強打にして返す河村
両者一歩も引かない打ち合いに向日は笑った


「あの樺地とまともに打ち合えるとは」

「でもケガする前にやめた方がいいっスよね」

「(樺地…雑魚はとっとと終わらせてしまえ!)」


跡部は不敵に笑い、指を鳴らす
その音を聞きとってか、樺地の動きがさらに鋭くなった
そのことに桜は目を見開く


『(……まだ上がるの!)』

「打球のスピード、パワーが更に増した!?」


不二が声を荒げるなか、河村は果敢にボールを打ち返す
しかし徐々にその重さ、強さに押され始め、河村の表情が歪んだ
堪らずに桃城が河村の名前を呼ぶ
すると河村は構えを変えた


「(出すよ……桜…!!)」

「あ、あの構えは!?」


ラケットを握り締め、河村はボールを見据えた










『えっ?それ本気?』


驚いて振り返る桜に、河村は神妙な顔で頷いた


「うん…関東大会で皆と勝つには俺もパワーを磨くしかない
だからあの不動峰の石田くんが使ってた、アレを使いたいんだ」


そう吐露した河村に桜は不思議そうな顔をした
随分と思いきった事を言う


『…確かに、あの技はパワープレイヤーである貴方にとって大きな武器になるけど…』


言い淀む桜に、言いたいことが分かった河村は口を開く


「うん。でも手に負担がかかりすぎる
だから桜に相談しようと思って
乾だったら自分で見つけられるんだろうけど、俺はそういうことできないから」

『ああ。いいのよ。貞治みたいになられても私が困るわ
記録つけてる身にもなってほしいんだけどね、貞治の場合』


そう言った桜は目を伏せて顎に手を当てる
その表情は真剣そのもので、河村は静かに待った
すると桜は視線を上げ、すっと彼を真っ直ぐ見据えた


『…そうね……タカさんなら…
じゃあやってみましょうか
ラケット持ってきて』

「あ、うん!ありがとう桜!!」


どうやら桜は練習に付き合ってくれるらしい
河村はお礼を言い急いでラケットを取りに行った











桜は河村の構えにスッと目を細める


『出すのね、タカさん…』

「あれは…!?」

「ふ、不動峰の石田の…」


それは右手を引き、足を開いて中腰の構えをとる
不動峰の石田が使い、河村の手首を壊した技
河村はラケットを両手で持ち、振り抜いた





波動球!!





「!」


「《15−0》」



吹っ飛んだのは樺地のラケットだった
そのあまりの威力に会場は呆気にとられていた
桜は満足げに腕を組み、下唇をなめた


『さすがね、タカさん』





「カモンベイビー」





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