頂を目指す二ノ姫V

□パワー勝負
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河村は手に負担がかかり連発出来ない波動球を克服していた
ラケットを両手で握り、打つことによって
次々と樺地のラケットを吹っ飛ばす河村は凄まじい気迫だ


「両手で打つことによって、手首やヒジへの負担を減らしている
でもそれだけじゃアレは打てない」

「乾がデータを磨いていたように、タカさんはパワーを磨いていたんだ」


それは都大会決勝のあと
どこかスッキリした様子の亜久津を見て
テニスをまんざらじゃないと言った亜久津の言葉を聞いて

負けんなよ、と言葉をくれた亜久津の思いを受けて

河村は勝つ為に、パワーを磨いていた
1ゲームとった河村は越前に首を巡らせる


「(あの亜久津をテニス一つで奮い立たせた越前―――――
お前と亜久津が少しの勇気を、桜が強さをくれたんだ
アイツらに恥じない様なテニスをしなくっちゃ!)」


その後2ゲーム目もとり、波に乗っている河村
しかし柳沢は樺地の目を危惧していた
彼は都大会の5位決定戦ダブルスで樺地と当たっていたのだ
木更津の出した空中でのドロップボレーをいとも簡単に繰り出してきた樺地
そのことがひっかかる。しかし桜は知らなかった
一度も彼がキチンと試合をしているところを見ていなかったから
パワープレイヤーとばかり思っていたから


『(でも……何かが……)』


それは僅かな違和感
それをしっかりと追及していくことが必要だったが、それをしなかった
そのツケが今現れる


『えっ』


樺地が右手を引き、右足も引いて足を開いた
そして右足から左足へ、重心を変える力を利用し、樺地は打った



波動球を





い゙ぃ――――――っ!!





樺地から放たれた波動球はフェンスにブチ当たり
その衝撃に氷帝応援団が尻もちを突いた
あまりの威力に目を見開く桜を跡部は見て喉を鳴らす


「(そういや桜は知らなかったな
それにしてもアイツには正直言って俺も驚かされたぜ
純粋な故に何でも吸収しちまう…ガキの様にな)」


樺地はその感情を宿さないかのような無垢な目で、前を見据えて言った





勝つのは氷帝………です























樺地は相手の技を吸収している
そしてとても理にかなったテニスをしていた
ただのパワープレイヤーではなかったのだ
桜は同点に追いつかれて歯噛みした


『(やられた。景吾め…
まさかこんなもの隠してるとは思わないわよ…
それになんで私ももっと調べとかないかな…)』


自分の不甲斐無さに苛立ちが募る
両手で打つ波動球を駆使し、樺地は河村を追いつめて行く


「(体力も底なしかい…)」


荒い息を吐き、汗を流す河村に対して樺地は呼吸が乱れている様子は見えない
河村はとうとう覚悟を決めた


「(このままじゃ勝てない!アレをやるしかないのか!!)」


その思いは構えとなって現れ、青学陣は何かを感じ取って驚いて凝視する
ラケットを握り締める河村に桜たちはハッとした


『(片手…!)』

「タカさん。それはいけないっ!!」


不二の制止も聞かず、河村は不敵に笑い、そして打った





グレイトォ―――ッ!!





それは手に負担がかかるから使わなかった、片手の波動球だった
しかし樺地もまた、それをコピーしていた





ばあぅ!!





だがそれだけでは終わらない
跡部も驚く中、河村はさらに片手で波動球を打っていた



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