頂を目指す二ノ姫V

□頂上対決
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「《15−15》」



点を取りかえした手塚。向日は茫然と呟いた


「あの跡部が奴のいる位置に打たされていたとでもいうのか?」


それは跡部の実力を知り、認めているからこその言葉
しかし跡部は点を取られたにもかかわらず高らかに笑いだした


「やるじゃねーのよ手塚」

『(…本当…侮れない)』





そんな腕で





いやに確信めいている跡部に桜はギュッと拳を握った
周りは何の事か分からずにざわついている
それもそのはず
手塚の肘が故障していたのを知っているのは桜と大石
それに不二ぐらいだろう


「そんな腕?どーいうことだ」

「あん?その左腕痛めてるんだろ?なあ手塚…
それとも桜に聞いた方が早いか?」


そう問いかけ桜を見た跡部に大石が思わず口走った


「いやっ。手塚のヒジはもう完治してるはずっ!!」


秀一郎!!


「なる程。ヒジな訳ね!」


桜は大石に叫ぶが跡部の耳にはしっかり入っていた
不敵に笑いかけてくる跡部に桜は表情を歪める
桃城は信じられなくて叫んでいた


「桜先輩大石先輩。ホントなんスか?」

「…………」


程なく開始された試合が頭に入って来ない
桜は流れていく映像をただ追いかけることしかできなくなっていた
すると背後で大石がおずおずと桜の名前を呼んだ


「桜………あの……」

『…もうここまできてしまったし…
このまま言わないのもね…話しましょ
国光も文句は言わないでしょう』


軽く後ろを向いて桜がそう言うと、大石も頷いて神妙に語りだした


「手塚はたしかに最近までヒジを壊していた
すまない。本人から口止めされてたから…
全国へ行く為にみんなに心配かけたくなかったらしい」


そう前置きして大石は表情を曇らせた


「2年以上前―
手塚は中学に入学してきた時からもうすでに3年のどの先輩より強かったんだ
まあ、それは桜も同じだったけどね」

『…私の話は良いのよ』


背後から複数の視線を感じて桜はそう釘を刺した
しかし





「…………ふざけるな」





「あなた達は何年テニスをやってるんだっ!!」





「こんな程度の事で諦めてどうするんだよ!」





『…全国。連れてってくれるんでしょ?』









―――脳裏に思い起こされるのは、桜たちが1年生だった
2年前の情景だった




→atogaki
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