頂を目指す二ノ姫V

□とっておきの切り札
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「まさか手塚が負けるとはな」





柳が零した言葉に真田は目を吊り上げて一言言った


たるんどる

「よっぽど真田副部長。自分で倒したかったんスね…」

「シィ―ッ」


真田を見てそう言った赤也に、柳は人差し指を立てて口に当てた
真田の耳に入ったらどうなることか
柳はコートに視線を戻して赤也に言う


「あの氷帝の日吉といえば、新人戦でおまえといい勝負してた奴だろ?」

「そーでしたっけ?」

「とぼけやがって…
来年の氷帝軍団を率いるのは間違いなく奴だ!
氷帝の監督、とんでもない切り札を隠してた様だな!」


腕を組んで真田が頷くが、しかし柳は面白そうに口角を上げた
それに気づいて赤也は首を捻る


「どうしたんスか?柳先輩」

「いや。しかし相手はあの桜だぞ」

「………ああ。あの1年生も、桜のとんでもない切り札…かもしれんな」


神妙な顔つきで真田がそう呟いた瞬間
リョーマの相手である日吉若の顔の横をボールが掠めて行った


「!」





よそ見してていーの?






「《15−0…》」



リョーマは考え事していた日吉の思考を試合に戻すと、またもやボールをコートに弾ませる


「どんどん行くよ!」

また出たぁぁツイストサーブ!!

「(何だと!?)」


突然のことに日吉は対処に遅れ、ラケットはボールに弾かれた
桜は闘志に溢れるリョーマの目を見て薄く笑う


『(キレがさらに増してるわね
しかもその目は何か企んでる)』


「《40−0!!》」


「おおお――っし。また決まった。いけぇー越前!!」


日吉はギリッと唇を噛み締めてリョーマを睨みつけた
しっかりとボールの軌道を見据える


「(やっかいなサーブ打ちやがってチビ助め――だが



返せない球じゃあないんだよ!!)」



すると日吉はリョーマのツイストサブを返した
周りは返されて驚いているが


「…いいや」

「あのツイストサーブは」

「本気じゃねえ!」

「ワザとおチビの奴…」

「ああ」

「返せるレベルで打ちやがった」

『ホント、しょうがない子ね』


大石たちと桜は呆れて笑う
するとリョーマは返ってきたボールをドロップショットで返した
しかもそれは手塚の得意技、「零式」だった
ボールはコートに落ちるとネットに向かって転がった


「(いったい何なんだこの1年は…!)」





まだまだだね





目を瞠った赤也はリョーマを見下して声を零した


「やっぱり青学にもいやがったか
とっておきの切り札が!!」



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