頂を目指す二ノ姫V

□彼らと彼女
1ページ/4ページ




試合終了後、桜は手塚の腕の具合を見て首を振った


『…あまりいい状態とは思えないわ
アイシングするから、その後スミレちゃん
病院に連れて行ってくれる?』

「わかった」

「そうだね。頼むよ桜」

『ええ』


救急箱を持った桜は全員に声を張り上げた


『それじゃあ撤収の準備をして!』

「「ウィース」」

「来週に延期されちゃったもんね〜」

「だな」


関東大会初日は試合時間の関係で1回戦までとなり
2回戦以降は来週となった
主に手塚と跡部の試合の長さのためだ


「桜先輩!これは」

『それはこっちのバックの中に
スコア類は貞治が持ってる方のバックに入れてくれる?』

「はい!」


1年に指示を出しながら撤収作業をしていると、唐突にポケットが震えた
携帯のバイブで、長さから電話だと分かる
ディスプレイを確認した桜は、そこに示された名前に首を傾げた
























「青学か」


選手が去ったコートのベンチに、彼らはまだそこにいた
柳は涼しげな顔をして言う


「両校とも結構レベルの高い試合してたが…」

「そーっスね。でも手塚さんにはやられたっスね
まさか公衆の面前で桜さんを抱きしめるとは思いませんでしたよ
本当嫌な人っスね」


愚痴愚痴とこぼす赤也に柳は苦笑した
真田は一瞬口を引き結ぶと声色を変えて言った


「…ところで赤也…あの青学1年
お前と同じ一本足のSステップだったな」

「あの桜の切り札だな」


赤也はそれを聞いて、不敵に目を吊り上げた
どこか好戦的な雰囲気が漂い、威圧感が増していく


アイツ…今潰しとかないと駄目っスよね!


その空気を壊したのは笑顔でやって来た桜だった


『随分物騒ね』

「来たか」

「わざわざ来てもらってすまないな」

『いいえ。構わないわよ』


桜は何てことないと3人に微笑みかける
すると真田が珍しくフッと笑った


「久しぶりだな、桜」

『ええ。弦一郎とは電話で話したきりだし
蓮二とはあまり会う機会も無かったものね
赤也だけかな?最近会ったのって』

「そうだな」

「ああ。元気そうで良かった」

『ありがと』


すると赤也は目尻を下げて軽い調子で桜に言った


「酷いっスよ〜桜さん!あの後大変だったんスからね!!」


そういう赤也の大変とは、まだ4月、彼が青学に乱入してきた時の話だろう
赤也が帰った後に桜が電話した相手は真田だった
そのためこってり彼に絞られたのだろう


「たわけ!赤也!お前がしっかりしていれば良かったのだぞ!!」

『(相変わらず中学生とは思えない貫禄ね)』

「ヒィ!!スンマセン!!」

「あまり声を荒げるな弦一郎。桜の前だぞ」

「む。ああ、すまん」

『フフッ。気にしなくていいわよ』


軽く笑うと桜はそれで、と真田に向き直った



.
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ