夜空を纏う四ノ姫2

□嵐の守護者の対決
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そうこうしている内に校舎内の明かりのついた一角までやって来ていた
目の前には黒い集団
桜は無意識に拳を握り、目に力を入れた
すると集団の中から金髪で目を隠した少年が声をかけてきた


「よっ姫!」

『…余裕そうね』

「そりゃそうだよ。俺王子だし?」

『そうだったわね』


曖昧に笑う桜にベルフェゴールは「んで?」と首を傾げる


「俺の対戦相手は?」

『隼人はまだ来てないのよ』

「逃げてどーすんだか?どうせ殺されんのに」

『逃げてないわよ?』


にっこりと笑う桜にベルも口角を上げる
前髪のせいで目は見えないが、きっと細められているのだろう
控えていたチェルベッロは教室内の時計を横目に言う


「あの時計の針が11時をさした時点で獄寺隼人を失格とし
ベルフェゴールの不戦勝とします」

『(隼人は………来るわ)』


そして長針が12をさす刹那、唐突に時計が爆発した
桜はニッと笑って腕を組む
ベルトに大量のダイナマイトを仕込み、口にはトレードマークである煙草


「おまたせしました10代目!!





獄寺隼人いけます






桜は背後に駆け寄って来る気配に目を瞑った


『隼人の様子はどう?若』

「問題無いとは思いますよ
やれるだけのことをシャマルも獄寺もやりましたから」


そう言う日吉は桜の肩越しに見た獄寺の様子に目を細める


「まぁ……時計を壊したのはいただけませんが」

『ああ。そうよねぇ』

「あ、若くん!!」

「よっ日吉。今日はお前が来たのな」


ツナと山本は日吉の存在に目を丸くした
山本の肩に乗るリボーンは日吉の目を見る


「獄寺の修行を見てたのか」

「ああ。色々大変だったがな」


溜息をつく日吉に獄寺はバツの悪そうな顔をする
そのあと桜を見て頬をかいた


「……桜にも迷惑かけたな。悪かった」

『迷惑を掛けられたなんて思ってないわよ』


ふんわり笑った桜に獄寺はそっぽを向く
しかしすぐにハッとしてツナに向き直り笑って言った


「遅れてすみません10代目!色々準備に手間取りまして」

「………そーだったんだ…」

「というより獄寺がうっかりしてたからだろ」

「うるせー!」


日吉の呟きに顔を赤くさせた獄寺は変わらず薄ら笑っているベルに向き合った
チェルベッロはそれを見計らって話し始めた


「それでは戦闘のフィールドの説明に移ります」

「今宵のフィールドは校舎の3階全てです」

「もちろんこの棟とつながる東棟も含まれ
廊下だけでなくこの階にある全ての教室を含みます」


それを聞いて獄寺は自分の好きな遮蔽物のあるフィールドだと喜ぶ
しかしチェルベッロの「ただし」の言葉と激しい轟音に動きを止めた


「なっ…」


その瞬間、獄寺の眼前を教室にあった机やガラスの破片が通り過ぎて行った
廊下の窓を突き破って階下へと落ちて行くそれに桜は眉を顰める


「……今のは…風…ですか…」

『突風、ね』


日吉の呟きに桜は苦い表情で頷く
あんなものに当たればどうなるかは目に見えている


「フィールドのあらゆる場所にこのようなハリケーンタービンが仕掛けてあります」

「ハリケーンタービン?」


台形のような形の機械には4つの吹き出し口がある
それは四方向にランダムに超強力な突風を発生させる嵐の装置だ


「あの風をまともにくらったら外へふっとばされるぞ……!!」

「メチャクチャだぜ……」


了平と山本は唇を噛み締めた
桜は獄寺の背中を見つめる
動揺しているようには見えず息を吐いた


「そして今回は勝負に時間制限をもうけます」

「試合開始から15分後にどちらかが嵐のリングを完成し所持しなければ
ハリケーンタービンに仕掛けられた時限爆弾が順次爆発し



この階を全壊にします」



その衝撃の宣告にツナは目を見開いた
つまりリングを完成させなければどちらも守護者には相応しくないとされ死ぬということだ
桜もぐっと唇を噛み、隣で拳を握る日吉に気付き自分の手をそっと添えた


「………桜さん…」

『………最悪嵐の指輪ごと爆破してもいいということね』

「ああ。守護者のリングをどーでもいいと考えてんのは…あいつかもな」

『ええ………XANXUSでしょう…』


桜は高笑いをしていた彼を思い出して目を伏せた
すると、リノリウムを鳴らす靴音が聞こえた



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