夜空を纏う四ノ姫2

□雲の守護者の帰還
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すると山本が雲雀に前に立ち彼を抑え始めた


「まーまー落ちつけってヒバリ。怒んのもわかっけどさ」

「邪魔だよ。僕の前には立たないでくれる」

「山本っ」


雲雀がトンファーを振るったのを見て越前が慌てるが、日吉が止めた
武道を嗜む彼は山本の纏う空気が変わったのを感じ取っていた


「(……今までの山本にはない…………重さと落ち着き…………)」


山本は流れるような無駄のない動作で雲雀の背後に回り、トンファーを掴んでいた
その動きに桜も面白そうに目を瞠る
洗練されたとまではいかないが、明らかに見違えた動き


『へぇ』

「そのロン毛はオレの相手なんだ。我慢してくれって」

「!」

「ニッ」

「(ん゙ん?刀小僧の今の動き……)」


スクアーロも思わず眉間にしわを刻んだ
この前戦った時とは比べるまでもないそれに引っかかりを感じる

しかし問題は雲雀だった
動きを捉えられ、邪魔をされてあの雲雀が黙っている訳はなかった
地の底を這うかのような声が響く





「邪魔する者は何人たりとも咬み殺す」





「やっべ!怒らせちまった…!!」

「ヤバいっすね」

「……仕方ない」

『フフッ。大丈夫よ。無傷で止める方法があるわ』


怪訝な表情を浮かべる越前と日吉に笑いかけ、桜はリボーンに目配せをした
リボーンが頷いたのを見て鋭い目つきの雲雀に声をかける


『ねぇ恭弥』

「………何桜。今取り込み中なんだけど」

『今ここで暴れてもいいことないわよ
お楽しみがなくなっちゃうけど?』

「!楽しみ…?」


喰いついた雲雀に笑って頷く


『ええ。ね、リボーン』

「ああ。今すぐってわけじゃねーがここで我慢して争奪戦で戦えば





遠くない未来六道骸とまた戦えるかもしんねーぞ





それを聞いて雲雀が反応したのに日吉は気付いた
スッと目を細める


「(……成程。そういうことか)」

「ふうん。本当かな桜」

『ええ。本当よ』


桜が頷くと信じたのか、雲雀は山本に向けていたトンファーをおろした
チェルベッロに目を向ける


「校舎の破損は完全に直るの」

「はい。我々チェルベッロが責任をもって」


すると納得したのか、雲雀はあっさり踵を返し山本に背を向けた


「そう……気が変わったよ
僕とやる前にあそこの彼に負けないでね」

「え…」


山本は唐突な雲雀の言葉にキョトンとした
雲雀は気にせずそのまま歩き出した


「じゃあね桜。行くよ越前」

『あ、またね』

「はいはい。じゃあ桜さん。若さんも。行って来るっス」

『ええ。恭弥をお願いね』


雲雀を追いかける越前の背中を見送った桜に、日吉が神妙な顔をして言った


「あの戦闘狂が戦いをやめるなんて相当ですね」

『ええ』

「それだけヒバリにとって骸から受けた屈辱はでかいんだ」

『そういうことね』


するとツナはハッとして慌てたように言った


「つーかあんな約束して大丈夫なのかよ!!」

「さーな」

『ま、大丈夫でしょう』

「なんか桜までテキトー!!」


ツナが桜に叫び、日吉は迷惑そうに顔を顰めた



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