頂を目指す二ノ姫V
□天才
4ページ/5ページ
「くそーっ
…あん時ブーメランスネイクさえ決まれば主導権握ってたのにな」
その声が聞こえていた丸井は、挑発的に笑った
「何?そんなのあんだ
じゃあそれ打たせてやるよ
ただしキッチリ返すぜ…」
「………!」
余裕を見せる丸井はガムを膨らませ
そして後ろをジャッカルが通ると同時に言った
「ジャッカルが!」
「おいオレかよっ」
『(お約束……)』
空笑いした桜だが内心不安だった
海堂の目つきが変わったからだ
『…………無駄な挑発にのってもいいことないわ…
でも…あの様子じゃ…』
「《ゲームカウント0−3!!海堂トゥ サーブ!!》」
海堂は力強くサーブを放った
「オラァ!!」
「そんな怒るなって…さあ打って来い!」
「なっ!?マジでコーナーに。たしかにブーメランは真ん中からじゃ…」
「(あんまり海堂薫を…………ナメんじゃねえ!!)」
丸井の打ったボールはコーナーへ向かう
それを見て桜は不安が的中したことと、立海の恐ろしさを思い出した
なぜ、忘れていたのだろうか
『しまった…薫!!』
「(何故わかったんだ?
奴はブーメランがあの位置からじゃないと打てない事を…
まだ一度も見せて無いんだぞ!?
まさか知ってて…それに桜先輩…)」
桃城も気付いたのか、慌てて海堂に鋭い声を向ける
「やめろ海堂。打つなっ!!」
「海堂くんのポール回しが入る確率…92%」
「!」
『………蓮二…』
「桜。どうやら体調が戻ったばかりで注意力が散漫のようだな」
そう、分かっていた筈なのだ
彼らは王者のプライドにかけて、どんな相手でも手を抜くことが無いことを
こちらに乾というデータマンがいるのと同様に
あちらにも参謀という名のデータ男がいることを
「ブーメランスネイク!!」
「たしかに柳の言う通りいい打球打つじゃん」
審判台の下をすり抜けるボールに悠々と追いつく彼
目を瞠る海堂と苦々しい表情の桜の前でそれは起こった
「ジャッカルのポール回しが入る確率100%…」
シャオオオォォ
「《0−15!!》」
無情にも審判の声が響く
桜は拳を握り締めて、しかし何も言えずにいた
今言えば簡単だが、それでいいわけではない
「よく見抜いたな。<さすが青学一のクセ者…>」
「(……やはり俺達の情報を知り尽くしてやがる)」
「遠いーねぇ…コレを外させるまでは」
そう言って見せつけるリストバンドに桜は目を細めた
→atogaki