頂を目指す二ノ姫W

□ビーチバレーの王子様
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関東大会優勝を果たした青学レギュラーは、千葉の海に来ていた
はしゃぐ彼らは水着に着替え早速海に入った


「ってあれ?桜は?」


目敏く桜の姿がないことに気付いた菊丸が首を巡らせる
すると大石がああ、と口を開いた


「飲み物を買って来るって言ってたよ」

「それにしても、桜の水着姿って見るの初めてだなぁ
俺クラス一度も一緒になったこと無いから」


何かを思い出すように唐突に河村がそう言うと、不二が口を開く


「…僕も見た事ないよ
桜って塩素アレルギーらしいからいつも見学だったんだよね」

「そーなんスか?」

「ああ。確か塩素アレルギーで、水泳の授業はレポート提出だったな
それに今日も体調を考えて海には入らないと言ってたぞ
水着も持ってきてないみたいだが?」

「えぇーっ!!そーなんスか!?」


乾の言葉に桃城が叫ぶが桜はここにいない
がっくりと肩を落とす菊丸と桃城に大石は苦笑した

そこに、ちょうど渦中の桜がやって来た
一斉に向いた視線に一瞬たじろぐ


『えっ……なに?』

「桜ーっ!!」

「なんで水着持ってきてないんスか!!」


桜は七分袖のTシャツにショートパンツという出で立ちだった
若干暑そうに見えなくもない
腕にぶら下がる菊丸にキョトンとして桜は曖昧に笑う


『だって泳ぐ気も無いのに着るのもね?焼けるのも嫌だし』

「足つけるぐらい別に大丈夫大丈夫!それに桜、前焼けにくいって言ってたじゃん!!」

「コラ英二。あんまり桜に無理言っちゃダメだろ?」


大石が窘めるが菊丸はえーっ、と口を尖らせる
すると突然、六角中テニス部の顧問、オジイが出現した


「!!」

『あら』

「…久し振りだねぇ〜………桜〜………」

『………はい。お久しぶりです』


穏やかな笑みを浮かべたオジイと桜
その背後から、複数の陽気な声がかかった
六角中テニス部のものだ


「よく来てくれましたね越前君!」

「この度は六角中との合同合宿のお誘い有難うございます」


スミレとオジイが握手を交わす
そう。今回は六角に呼ばれて合宿に来たのだ
ただし、今日は遊ぶつもりのようだが





「ってことでビーチバレーでもやろう!!」





誰が言ったかビーチバレーをするようだ






「…で、結局こーなるんスね」





紙に書かれた「オジイ杯ビーチバレートーナメント」の文字が躍る
桜は屋根のある場所にビニールシートをひいて座り込んだ
今回は完璧な観客だ


「クジを引いて青学と六角の混合ペアを作ってトーナメントを競おう」

「アレ?青学八人で六角七人だったら一人足んないよ」

「そーなのね」


するとおもむろにオジイが脱ぎ出した
まさかの行動である
それを見て全員慌てた
すると、桃城が名案とばかりに輝かしい笑顔で桜を見た


「それじゃあ桜先輩やりませんか?」

『…えっと………』


座り込んでいた桜は唐突な誘いに苦笑いを浮かべた
見る体勢だったので中々動き出しづらい
すかさず海堂が桃城に突っかかる
最近海堂は桜の事で桃城を怒る事が多くなった


「てめぇ桃城!いきなり桜先輩に言うんじゃねぇ!!馬鹿か!!」

「んだと海堂!!テメェは最近うるせぇんだよ!!
桜先輩にいいとこ見せようとしてるのバレバレなんだよ!!!」

「ふざけんな!!!」

『コラコラ貴方たち
そろそろ そのネタで喧嘩するの止めなさいね』



見かねて桜が溜息交じりに仲裁に入った



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