頂を目指す二ノ姫V

□リョーマがゆく
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全国中学生テニストーナメント関東決勝
立海大附属(神奈川)VS青春学園(東京)





「常ー勝ーっ立海大!!」

「青学ぅーっファイオー!!」


両校応援に熱が入る
これで、関東大会の王者が決まるのだ



「《これよりシングルス1
真田VS越前の試合を行います!!》」



とうとう始まる試合に、桜の鼓動が激しくなる
向かい合うリョーマと真田に会場中の視線が集まった
何か、とんでもない事が起こる
そんな予感がする

ジャッカルは腕時計を見て舌打ちした


「幸村の手術始まっちまったか」

「ワ、ワリッす…」


バツが悪そうに赤也が言うと、丸井とジャッカルが揃って棒読みで言った


「「誰もお前だけを責めたりするもんか。なあ?」」

「参謀も…プリッ」

「も、申し訳ない」


謝った柳の隣で柳生が口を開く


「とにかく今は我々も試合に集中してないと
かれらに足元抄われますよ」


柳生はそう言って眼鏡を押し上げる
映るのはがっしりとした体つきの鬼の副部長

桜は一切の迷いを捨てた真田の表情を窺う


『…精市の手術があるのに、それを感じさせない。確かに戦いの鬼ね
コートに立った時点で全ての雑念を捨て、目の前のリョーマしか見てない
リョーマを容赦なく叩き潰す事しか頭にないわね』


その眼光たるや凄まじい

しかしかなりの重圧を感じているはずのリョーマは、真田に生意気に笑った





「ねえ…全国にはアンタみたいな化物ゴロゴロいるんでしょ?」





「ア、アイツ…
このプレッシャーの中全然ビビってねーや」


桃城は感心したように言う
しかし真田は、離れていくリョーマに目を細めた


「(だが…まだ若すぎる)」


チラッと桜に視線を向ける
桜は、真田の視線を真っ向から受け止めた


「(桜……お前の前で王者立海の実力を見せつけてくれよう)」

『(望むところ。私も弦一郎の成長ぶりを見せてもらうわ)』



「《ザ・ベスト・オブ・1セットマッチ 越前サービスプレイ》」



ベースラインに立ち、リョーマは憮然として立つ真田の腕に目を向ける


「パワーリスト。外しといた方がいーんじゃない?」

「安心しろ。鉛は抜いてある





容赦はせん。本気で来い越前リョーマよ





真田の宣戦布告に、リョーマの雰囲気が変わる
彼から紡がれるのは海を越えた国の言葉





Is that so?(あっそ!)
Well,Whatever you say.(じゃあそうさせてもらうよ)






「……!」


赤也は、そのリョーマの様子に驚いた
周りは先程の赤也の様子と酷似したそれに固唾を呑む


『(私と試合もしたしね…)』

「ほう…(さっきの試合で思い出したか……)」


それは無我の境地と呼ばれるもの
リョーマは今度は日本語を紡いだ


「いくよ!」

「来い。ひねり潰してやるわ!」


構えたリョーマはベンチに座る赤也を横目で見て、ボールを握り潰すように持つ
それを上空に放った



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