頂を目指す二ノ姫V

□サムライの血
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「へぇ。いきなり速……!?」


しかし手塚の表情に笑顔が消えた
本気だと肌で感じる空気に表情も引き締まる
腰を落として次のサーブを待つ


「いくぞっ!!」

「つあっ!!」


激しいラリー。容赦の無い技
大石の表情はどんどん強張っていった


「(手塚…)」

『…………手加減も、仲間のよしみもない』


桜は静かに口を開いた


『それこそ完膚無きまでに、リョーマを負かす気ね』

「…………ああ」





「どうした越前。俺を倒してみろ」














―――…


『……俺を倒してみろ…か……』


桜はまるで泣きだす前のような咽喉が縮まるような感覚を覚えた















真田はボールを打ち返しながら、先程己の目に映った姿を考えていた


「(何だ…さっきおれの目に映った…サムライのようなモノは…!?)」


信じられないことに、どこか見覚えがあった
しかしそれを振り払うようにスマッシュを叩きつける
あと3ポイントで立海の勝利が決まるのだ


『(でも、リョーマは諦めない)』


手塚はあの時、リョーマを進化させようとしていた
それがこの答えだろう

全国を戦い抜く為に、進化する
それは、今、この時だ





「おおおおおおっ」





「たわけ!!」





「――――っし!!」





「(………こいつの奥底に潜むモノは何だ!?)」


まだリョーマの闘志は失われていない
それどころか、徐々に真田の得点に迫って来ていた
波に乗ってくるリョーマ
だが、真田もやはり王者の実績と実力があった


「(しまっ…)」


リョーマが前に出て来たのをしっかりと確認し、真田はロブを打った
しかもベースライン上に
そのコントロールは誰もが感嘆する


「奴も百戦錬磨だ」

「一本のロブで流れを引き戻した」

「ここへ来てなんて正確無比なトップスピンロブを上げやがるんだ」

「にゃろう!!」



「《30−0!》」



「《40−0!》」



「3回も立て続けに同じライン上にロブを…!?」


向日はその真田のコントロールに思わず叫んだが、それを忍足が苦い顔をする



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