頂を目指す二ノ姫V

□サムライの血
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「“…………だが越前をシングルス1にすることで……
…桜…お前にあらぬ誹謗中傷が浴びせられるかもしれない”」

『!!』

「“……俺は…それを分かっていて
お前に全部背負わせるつもりでこんなことを言った……すまない…”」


事もあろうに、手塚は桜の事を考えていた
試合をする者でもない、ただ座って見ていることしか出来ない桜の
彼の優しさが、嬉しくて、辛くて、苦しかった
だから、この判断が出来たのだ


『……莫迦ね……私の事はそんな風に気にしなくていいのよ
試合をするのはリョーマなんだから』


思わず微笑んで、桜は息を吐いた
もう心は決まっていた
きっと後悔をたくさんして、己を叱咤することになると思う
それでも、後わずかになるであろう手塚の
この想いやりを忘れずに途路を進むことにする
それが最善の選択なのだから


『……分かったわ。シングルス1は……リョーマにするわね』

「“……………ああ………頼む”」
















『(…あの時、私は確信もなく、ただ途路を進む事だけを考えた
その後は歪みに慄き
彼らに何もしない自分がいつか見放されることを恐れながらも願った
そして、その結果が………これなのよね………)』





会場の誰もが目を疑う光景がそこには広がっていた





マッチポイントまで追い込まれている無敗の皇帝





そして追いこんだ目の前のルーキー





今決着が、つこうとしていた





リョーマは最後の力を振り絞り口角をあげた


「Well,I got you cornered.(さあ追い詰めたよ)」

「(限界を超えてなお来るか『無我の境地』)」


真田はそのリョーマの底力を認めた
そして必ず倒さなければならない者と位置付けた
チラッと桜を見た真田は踵を返してベースラインへと歩む


「俺はそれを使いこなせる奴を三人、いや四人知っている


我が立海大附属部長の幸村…


九州の千歳…


お前達のマネージャー神崎桜…」


「ええっ!!」

「桜先輩『無我の境地』を使えるんスか!!」


驚く菊丸と桃城。大石達も目を瞠った


「(じゃああの時、越前と試合をしていた時感じたのは……)」

「そして…


我が心すでに空なり


空なるが故に無」


真田を纏う空気が変わり、リョーマはそれを目にした
リョーマと同じ、迸るオーラ






「俺だ!」








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