頂を目指す二ノ姫W

□氷の王様襲来
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この日、氷帝学園に激震が走った


「マジマジすっげぇーっ!!
さっきの電話ホントっすか監督ーっ!!」


覚醒してテンションの高いジローが音楽室に飛び込んできた
中には跡部を抜いた、関東大会で青学と戦ったメンバー6人がいた


「さっき他のメンバーにも話したんだが、今年の全国開催地が東京都に決まった
そして開催地から一校推薦枠として全国大会への切符が与えられる
そして今回東京都が選んだ一校、それが―――






我が氷帝学園だ






桜の予想通り、氷帝学園が全国へと参戦することになった
忍足たちは、まだその話を聞いていない跡部に聞かせる為に敷地内を探しに出た
樺地と榊の話で、彼は学校に来ているのだそうだ


「この大事な時にどこほっつき歩いてんだ跡部はよっ!!」


宍戸が険しい顔で叫ぶ
鳳は表情を引き締めた


「とにかく手分けして捜しましょう!
一刻も早く伝えないと」


しかし、忍足には一つの懸念があった
それはこの2年間共に過ごしてきたからこそ分かる事


「…ただ、あのプライドの高い跡部がOKするか心配やわ」


関東大会で青学に負け、最早断たれたと思っていた全国への道
それが、完璧な実力ではないもので繋がれたのだ
自分の力で勝ち取ったものではないと、突っぱねるかもしれない
それが忍足には心配だった

すると、コートからインパクト音が聞こえて来た


「何や。まだ誰かコートにおるんか」


階段を上がって観客席に出た忍足は、コートにいた人影に目を丸くした
テニスウェアに身を包んだ跡部が、ボールを空に放ち






「はああああ!!






ボールが、コートを駆け抜けていった


「(な、何やあのサーブは…)」


不自然に変形したボールがコートを凄まじいスピードで転がっていく
その光景に見覚えがある


「あ、あれは越前が関東決勝で………たしか最後に見せた」


COOLドライブの様な変化
忍足は唖然と跡部を見た


「(…跡部。この男も底が見えへんわ)」


すると宍戸たちもコートに集まって来た
コートで息を荒げる跡部に叫ぶ


「おい跡部っ
開催地枠だけどよ。俺等も全国行けるぜ!!」


向日が言うが、跡部は振り向きもせずサーブを打つ
今度は宍戸が声を張り上げた


「俺等どーしても行きてーんだよ」

「俺達はどんな形だろうと全国に行って奴らにカリを返したい!」

「部長っ。お願いします!!」


日吉と鳳も叫ぶ
その時、手を止めた跡部の耳に、あの氷帝コールが届いた




「―帝」


「氷帝」


「氷帝…」


「氷帝っ氷帝!」


「氷帝 氷帝!!」





屋上から窓から身を乗り出し、校舎を埋め尽くす生徒達からの氷帝コール
跡部は呆れたように息を吐いた


「バカヤロウ
どいつもこいつも浮かれやがって」



「氷帝氷帝!!」


「氷帝氷帝!!」





パチーン




静まり返る生徒達
跡部は手を挙げたまま、高らかに言い放った







「俺様と共に全国へついて来な!!」







その瞬間、辺りは歓声に包まれた
忍足たちは跡部の元に集まった


「うれCー!!全国だぁー!!」

「よっしゃー!!」

「お前ら、はしゃぎ過ぎんじゃねぇ」

「そらしょうがないやろ
岳人なんかかなり落ち込んでたからなぁ」

「クソクソ侑士。うるせぇよ!!」


跡部はぐるっと己のチームメイトを見て、ニッと口の端に笑みを浮かべる
その表情は、まさにキング


「いいかてめぇら。無様な姿は晒すんじゃねえぞ!!」

「はいっ!!」

「ま、やるからには青学の奴等に負けてられへんなぁ」

「だな」

「そこでだ」


唐突に言葉を切った跡部に、忍足たちは首を傾げた



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