頂を目指す二ノ姫W

□1日目B
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昼食は榊と跡部が用意したシェフによるバイキングだった
豪華な食事に全員が嬉しそうだ
しかし、昼食ぐらいもっと手抜きでもいいと思ったのは桜だけではないだろう


『(………最後の2日は練習試合だし……
外で食べられるようにしてもらおう…)』


後でシェフの所に行くことが決定した


「早い者勝ちだぜぃ!!」

「あ、ずるいっすよ丸井先輩!!」


早々に皿に盛りだす丸井と、追いすがる赤也
あまりの早技に驚きを隠せない
これには菊丸と桃城も黙ってはいなかった


「俺達も行くぞー!!」

「負けられねーな、負けられねーよ!!」

「コラ!2人とも走るな!!」

『そうよ。料理は逃げないんだから、落ち着きなさい』

「「はーい」」


大石がすかさず窘め、桜も呆れたように口にする
一応2人も走りはしないが早歩きだった
料理を盛る手の動きも料理を探す目の動きも速い
後ろに居た栞もうわわわ、とキョロキョロ料理を見ていた
その目は何気に光っている


「すっごいね、何から食べようか迷っちゃうな」

『ゆっくり決めればいいわよ』


フフッと笑った桜はトレーを持って料理を探し始めた
バイキング形式は多くの種類の料理を食べられるが反面多すぎて困るのだ
桜はあまり食に関して執着が無い方だった
だから何を食べるか目移りしてしまって決められない

と、いきなりサラダと大盛の肉の皿を置かれた


『………っえ…』


サラダはいいとして、何だこの肉は
顔を引き攣らせて見上げると、柳と真田が立っていた
推測しなくても分かる。柳がサラダで真田が肉だ


「奇遇だな桜。午前はお疲れ様
この前まで倒れていた事を考えて野菜は多く取っておいた方がいい」

「それにもう少しタンパク質が必要だろうし、お前は少し細すぎる
肉を食べて午後の英気を養うといい」

『………だからって…この肉の量は尋常じゃない…』


昼間っからこんなに肉を食べようとも思わない
昼食は麺類など軽く済ませるつもりにしようと決め始めていたのだが
そもそもこの量を女子に進めるのは如何なものかと思う


「あっ!!桜さん!!一緒に食べましょ!!」

「そうだぜぃ!桜!!お前も来いよ!!」

『………そうね』


真田と柳の間から赤也と丸井の声がした
別に青学や、栞とも約束をしているわけではないからどこで食べてもいいだろう
柳と真田に良い?と聞けば勿論と返ってくる
桜は他に和食をメインに皿に盛り付け2人の元に向かった

昼食も大体が学校別に座っているようで、全員集合していた


「お持ちしますよ桜さん」

「おーおー流石柳生は紳士じゃのう。なら俺が椅子を引いちゃろ」

『えっと、ありがとう比呂士。雅治』


わざわざ席を立った2人に促されて椅子に座る
するとすかさず仁王と幸村が隣に座った
その早技に驚く前に隣に座ろうとしていた赤也が非難の声を上げた


「あーっ!!ズルイっスよ先輩達!!
俺も桜さんの隣がいい!!」

「早い者勝ちじゃ。なぁ幸村」

「フフッ。そうだね」


仁王と顔を見合わせる幸村に赤也は押し黙る
すると頭を切り替えた丸井が動いた


「んなら俺はここっと」

「あっ!!じゃあ俺はここっス!!」

「…なら隣は俺が座ろう」

「ゲッ」


赤也の隣に腰を下ろした真田に赤也は顔を顰める
しかし真田の目が赤也を鋭く射抜いた


「なんだ赤也。不満か?」

「…いや。ないっス」


肩を落とした赤也に桜は喉で笑った
というのも仁王が耳に口を寄せて小さい声で言ったからだ


「いつもこのやりとりをしとるぜよ」

『フフッ。弦一郎は本当赤也のことが好きなのね』

「それ、赤也には言わない方がいいなり」

『私もそう思う』

「(ほう。やっぱり桜も面白い奴ぜよ)」


仁王は予想していなかった桜の返答にククッと笑った



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