夜空を纏う四ノ姫2

□クローム髑髏VS.マーモン
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振り返ったマーモンは大して動揺も焦りも無い
逆に余裕さえ感じられる声音だった


「よかったよ。ある程度の相手で
これで思う存分アレを使える





あのマヌケチビ二匹の前でね」





バキンッ




マーモンから金属の割れるような音がしたかと思うと、マントの下から鎖が落ちた
頭に乗っていたカエルの表面にひびが入る


「ファンタズマ、いこう」


表面が白くなったカエルは細長くなり、マーモンの頭上で尻尾を咥えて円になった
そして、服の前を開いたそこから、藍色に光るおしゃぶり


『……』


桜はギュッと胸元を掴んだ
同時にコロネロとリボーンのおしゃぶりも光っている


「あの巻きガエルと藍色のおしゃぶり…
生きてやがったのか………コラ!」

「やはりな……奴の正体は






アルコバレーノ バイパー」






宙に浮くマーモンもといバイパーにツナたちは呆気にとられる


「あいつもアルコバレーノ!?」

「ああ。奴も最強の赤ん坊
アルコバレーノの一人だぜ」

「藍色のおしゃぶりのバイパー
アルコバレーノ一のサイキック能力をもつとも言われている術士だ」

「サイキックって…超能力じゃないスか!?そんなオカルトな!!」

若が好きそうやな

…っていうかオカルトでもないけどね


小さな声で忍足と幸村がコソッと言った
それが聞こえたらしい宍戸は曖昧な顔をした
コロネロは厳しい表情でバイパーを見続ける


「戦いの最中行方不明になったときいていたが、まさか生きていたとはな」

『どうして今までおしゃぶりが光らなかったのかしらね?』

「よくわかんねーが
さっきのクサリみてーのでおしゃぶりの機能を封印してたみてーだな」


するとバイパーは馬鹿にしたようにリボーンとコロネロを見下した


「バカチビ共にはわからぬ研究の副産物さ
お前たちとは違って僕は怠らなかったからね





呪いを解く努力を」





その時、リボーンとコロネロの表情がほんの僅かに変わった
それに気付いたのは桜だけだったが
桜も目を伏せ感情を逃がそうとしていた
その桜の頭と肩と背中に大きな手があたる

そっぽを向いて頭に手を乗せる宍戸
柔らかい笑顔で肩に手をのせる幸村
眼鏡を押し上げ背に手を当てる忍足

強張った身体の力が抜けていくようだった


『……ありがとう』

「……おう」


頭をポンポンと叩く宍戸を合図に幸村も忍足も笑って手を離した
わかっていると、言われているみたいだった


「やばいぜ。あのバカチビ相手じゃ並の術士じゃかないっこねーぜコラ!」

「なめんなコロネロ。髑髏は並の術士なんかじゃねえぞ」


クロームは三叉槍を構える


「誰だろうと…負けない」


走り出したクロームはバイパー目掛けて三叉槍を振るう
だがひらりと躱された


「けなげな攻撃だね」


しかし、バイパーに蛇が突然巻き付いた
突然出現したそれに戸惑いを隠せない


「ムム。この大蛇。幻覚ではないのか」

「………出来とるな、畜生道」

「そうだね。数も大きさも申し分ないかな」


ケモノを召喚する技はやはり骸の能力だ
獄寺は一層声高にクロームを骸だと言う
忍足が呆れたように溜息をつけばいきり立った
しかしツナは納得のいかない様子だ
気付いた宍戸がツナを呼ぶ


「どうした沢田。浮かない顔をして」

「あ……その…確かに時々
骸っていう人そのもののように感じる事があるんです…」

「六道骸な。桜から話は聞いてるぜ。それで……?」

「はい…でも一つわからないんです……
最初に会った時からいつも彼女自身の意志を感じるんです」


憑依された人間からは意志は感じない
なのに、クロームからは感じる
その差にツナは戸惑っていた
宍戸は押し黙った



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