夜空を纏う四ノ姫2

□六道骸VS.バイパー
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骸の全身が凍りついてしまった
彼は不敵な笑みのままい動きが取れない状態に追い込まれた

しかし忍足はうっすらと笑みを浮かべる
その目はどこか面白がっているようでもあった


「何やっとんねんアイツ」

「カッコつけたがりってのは間違いじゃねーな。あいつみてぇ」

「……確かにね」


ククッと笑う幸村の視線が一瞬二階の窓の辺りを見た
暗い闇が一瞬揺らめいたように感じた

バイパーのフードから今度はハンマーが出てくる


「さて化けの皮をはがそうか
もっとも砕け散るのはさっきの女の体だろうけどね」


凄まじい速さで突っ込むバイパー
しかし骸の目の漢数字が、六から一に変わったのに気付いた者はいなかった
突っ込んでいったバイパーの行く手を遮る様に、床から蔓が飛び出てくる
それはバイパーの体に巻き付き蓮の花を咲かせた


「クフフフ。誰が幻覚ですか?」

「ムグ!!何て……力だ…!く……苦しい…」


蔓に締めつけられるバイパーに、氷を溶かした骸が笑う
ベルはその様子に驚いた


「うわ……あいつ何者?」


コロネロも驚いて骸を凝視する


「あのバイパーを圧倒してるぜ…………」

「あれがツナの霧の守護者、六道骸だ」

「やっぱり本物なんだ…」

「しかし…だとしたらさっきまでの女はどーなるんですか…」


驚きを隠せないツナはぽつりと零す
獄寺のもっともな問いに、幸村が答えた


「クロームと骸をわけて考えちゃダメだよ」

「幸村…さん」

「クロームがいるから骸は存在し
骸がいるからクロームは生きていられるんや
せやから2人を切り離して考えたらあかんねん」

「忍足さん…意味わかんないんですけど」


しかし首を傾げるツナたちにもう何も言わなかった
曖昧に笑って視線を外す。何とも消化不良だ

骸はそれこそ余裕を感じさせるゆっくりとした動作で三叉槍を持ち上げる
その声音は実に楽しそうだった


「さぁ……どうします?アルコバレーノ
のろのろしているとグサリ……ですよ」


挑発され、蔓から逃れたバイパーは分身したかのように増えた
ピシャリと怒声を叩きつける


「図にのるな!!」

「惰弱な」


そう切り捨てた骸の目は四になっており
三叉槍を振ると増えたバイパーを破裂させた
格闘能力の修羅道である
それにバイパーは吠えるように吐き捨てた


「ムムゥ!!格闘のできる術士なんて邪道だぞ!!
輪廻だって僕は認めるものか!!」

「ほう」

「人間は何度も同じ人生を無限にくり返すのさ
だから僕は集めるんだ!!金をね!!」


バイパーの頭上が光ると、体育館が歪み、千切れてぐるっと螺旋を描いた
奇妙に切れた床にずり落ちる
幻覚にかかった状態では立つ事が無理だった


「桜。掴まっとき」

『あら、ありがとう』

「あの赤ん坊、力全開だな」

「そうするしかないんだろう。もう勝負は見えたね」


幸村はフッと獲物を捉えたかのような捕食者の目をして口の端を吊り上げた
骸は心底楽しそうに高笑いする


「クハハハ!強欲のアルコバレーノですか
面白い……だが欲なら僕も負けません」


三叉槍を螺旋を描く床に突き立てる
すると四方の床から蓮の花の咲いた蔓が巻き付いた火柱が出現した


「す…すんげっ」

「夢でも見ているのか…」


ヴァリアーでも驚く程の幻覚
それは悪影響も及ぼし始めていた




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