夜空を纏う四ノ姫2

□大空の対決
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「あの方向はやべーんだ」

「せやな。見てみ」


忍足も頷き、促された宍戸は光線の先を見る
すると着弾した場所を見て声をあげた


「体育館!!」

「あそこにゃあ確か…!」

「霧の守護者が!!」

「ドクロ!」


宍戸はバッとリストバンドのディスプレイを見下す
犬が焦った顔で忍足の服を掴んだ
忍足は安心させるように薄く笑う


「大丈夫や。沢田が一瞬ひきつけたおかげで2人とも無事や
せやろ亮」

「ああ。間一髪ってとこだけどな」


そう聞いて犬と千種も胸をなでおろした
宍戸は黙ってディスプレイを替える
そして苦しげな表情を浮かべた
画面の中で、桜が手足に力を込め、懸命に立ち上がろうとしていた


「………桜」

「………………大丈夫でしょうか、桜さん」


日吉もギュッと拳を握って宍戸を見る
越前も、忍足も、その表情は晴れない
宍戸は自分に言い聞かせるように言うしかなかった


「ああ。桜がそう簡単に死ぬかよ。大丈夫だ」


振り払うかのようにツナに視線を映す
ツナとザンザスは校舎の壁に足をつき対峙していた


「そうか………ほざいていたな
守護者は誰も死なせんと
それで貴様は何を得た」

「?」

「オレは部下が死のうがどーでもいいが、見ろ」

「!」


冷徹な言葉を吐くザンザス
だが彼の部下は違った


《お願いボス!助けて!!な…何だってしちゃう!!》

《もう…負けないよ!!一生ついてくよ!ハァ…ハァ…》

《リング…》

《お助けを…》



「ふははは!これこそが大空だ!!」



それは圧倒的な支配力だった
他人を駒とみなし、使う
まさにマフィアのボスだろう
ザンザスは飛び上がり、





「施しだ!!」





そして2か所に銃を撃った

桜は、衝撃と爆音に顔を顰め、攻撃の方向を見た
一つは校舎だろうが、もう一つは桜と同じ屋上


『…雷のポールが倒れた…………』


あの攻撃は状況から見てポールを倒す為
入院していたランボはまだ意識がない
だとすれば


『……ランボが…危ない…………』


体が震えるが、そんなことを言っている暇は無い
苦痛に耐えながら、何とか上半身を起き上がらせる


『この程度の毒…………
あのマッドサイエンティストの研究の実験台にされるよか全然マシよ!!』


そう言って足に力を込める。すると、




ドオン




『…ぐっ…』


突然ポールに先程同様光線が激突し、ポールが桜の目の前に倒れた
飛び散るがれきを頭を伏せてやり過ごし、落ちてきたリングを呆然と見た


『(………これ………ザンザスが…………)』


マグレか、それともワザとか
何にしても、桜は己のリングだけでは助からない
だがこれもなければならないのだからこれはチャンスだろう
桜は仏頂面のザンザスの顔を思い出して唇を噛み、リングを凹みに差し込んだ


『(………ごめんね、ザンザス…………)』


毒だろうが何だろうが、己の道は邪魔させない
例えどんなに罪の道だろうとも


『待ってて……ランボ……………』


桜は手すりに掴まりながらも立ち上がり、足を進めた
体の重さと燃えるような熱さに吐き気と頭痛がするが
それでも、目はまっすぐに向いていた



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