夜空を纏う四ノ姫2

□大空の対決
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「片付けるだ?」


ザンザスは、特殊弾によりハイパー死ぬ気モードとなったツナを睥睨した
普段とは全く違う冷静な彼を嘲笑うように言う


「昨晩のあの程度の力でか?」

「昨日のオレと同じに見えるか?」

「!」


ツナの言葉にザンザスの眉間にクッとしわが寄る
空気が変わったのを敏感に感じ取ったチェルベッロは慌てて声を張った


「観覧される方はこちらへ!急いでください!」


観覧席は守護者戦同様に赤外線センサーが張り巡らされている校舎裏の一面だ
巨大なディスプレーもあり逐一彼等の動きを追う事が出来る


「ここにいたら危険ですからね」

「だな」

「その通りです。ですので移動をしてください」

「あなたたちもです」


チェルベッロの一人の目線の先
そこには校舎の壁に身を隠すようにしていた犬と千種がいた
忍足は呆れたように2人を見て息を吐いた


「ゲッ。バレてんの」

「せやから意地はらんと一緒におったら良かったやろ」

「そうだよ犬」

「うっへー柿ピー、侑士」

「観覧される方も、こちらをお付けになりたい方がいればどうぞ」


そう言ってチェルベッロが取り出したのは
今守護者たちを苛んでいる毒が内蔵されていた
小型のディスプレイのリストバンドだ

警戒した宍戸と日吉にチェルベッロは冷淡に言う


「巨大ディスプレイも他の守護者たちの様子を映す時もあります
ですがほぼ大空戦になるでしょう
こちらがあれば他の守護者たちも見ることが出来ます」

「ご安心ください
毒は入っていませんし、疑われるのであれば装着しなくても構いません」


彼女たちを睨みつけながら警戒心を弱めない日吉
忍足も疑いの眼差しだがリストバンドを受け取った





「それでは大空のリング





XANXUS VS.沢田綱吉





勝負開始!!」
























『……っ………う…』


桜は、響き渡る爆発音と殺気に、勝負がついに始まったことを悟った
そして同時に運命の分岐点が近い事も悟っていた


『(…………本当に……余計なことを………っ)』


指をほんの少し動かすことも難しい
内側から焼かれているかのような熱さと激しい痛みに額から脂汗が噴き出る

だがここにいつまでもいる訳にはいかない
ここで彼らが死ぬような事があってはならない


『(…………ここから…なら………ランボ…が………近いかな………)』


腕に力を込め、何とかして上半身を起こそうとする
すると、激しい衝撃とともに黒い煙が見えた
ツナとザンザスは桜のいる屋上のすぐ下で戦っている
その為戦いの衝撃がダイレクトに伝わってくるのだ


『(………まさか……今のは………)』


桜は今の感覚に覚えがあった
燻る煙と鼻につく錆びた匂い
ザンザスが持つ炎


『憤怒の炎……』


死ぬ気の炎は指紋や声紋と同じで一人一人個体によって形や性質が異なる
ザンザスの炎は極めて珍しい光球の炎で、2代目と同じ炎だった
この炎は全てを灰に帰す圧倒的な破壊力を有し
2代目が激昂した時にのみ見せたことから「憤怒の炎」と呼ばれる

この匂いは恐らく憤怒の炎が校舎を一瞬にうちに風化させたのだろう
彼の実力を知っているからこそ想像に難くない
桜は痛みに耐えながら歯を食いしばった



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