夜空を纏う四ノ姫3

□10年後の世界
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「10代目!」





「(やっぱり10年後の獄寺君!!
すげ――でかくなってる―――――!!?)」


彼はツナの肩を掴むと悲痛な表情で何度も謝った


「スイマセン!スイマセン!」

「なっ!?っていうかいててて!」


肩を掴む手には力が入っていてツナは顔を顰めた
獄寺は申し訳なさそうに手を離すが、辛そうな顔のままだ


「いやっ…あの…(何がなんだか…)」

「………………スイマセン」


しばらくして落ち着いたらしい獄寺に、ツナは困った顔を向ける


「し…信じられないかもしれないですけど…ぼ…僕は……
まちがってランボの10年バズーカに当たっちゃって…」

「そうですね…5分しかない」


疑問符を浮かべるツナに、獄寺はさらに辛そうに目を瞑った
何かを押し殺すようにすれば、ツナに意を決したように言う


「いいですか10代目
過去へ戻ったら、今からオレの言うことを必ず実行してください」

「え?へ?」

「詳しく説明している時間はないんです

過去へ戻ったら、まずこの男を消してください」

「は……は――!?」


突然の言葉に絶句するツナに、獄寺は一枚の写真を渡す
そこには眼鏡の男が映っていた


「この時代の写真ですがあなたは奴と中一の時接触してるはずなんです」


そう言って見せられてもツナには心当たりがない
さらに獄寺の躊躇する必要はないという言葉にさらに顔を青くする
獄寺のただ事ではない様子に心配が募った

しかし次の獄寺の表情と言葉に言葉を失った






「奴とアイツさえいなければ





白蘭もこれほどには……」






「ビャク……ラン?
(っていうか…さっきから何でこんな深刻な空気なの…?
一体10年後のこの世界、何が起きてんの――!?)」


深刻な空気に息を詰めるツナ
しかし彼は自分が握りしめているものを思い出した


「(…………そうだ…これ……)」


ツナはまだ何かを言いたそうな獄寺を遮って先程の疑問をぶつけることにした
どうしても気になってしまったのだ


「次に念のためにですが……」

「あの…一つだけ…すごく気になるんですけど……
何で10年後のオレ、ここにいたんですか?」

「!!」


獄寺の目が見開かれる
それにツナは血の気が引くのを感じながら続きを口にした


「何で10年後の……オレ…棺桶に…?」

「…それは…」


獄寺は悔しげに表情を歪め、絞り出すように答えを言おうとした
ツナも固唾を呑みこんで獄寺の答えを待つ

しかしツナが答えを聞くことは出来なかった




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