夜空を纏う四ノ姫3

□変貌
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目を開けたツナの目の前に、突如地下に続くアジトの入り口が現れた
鬱蒼とした森に不釣り合いな人工的な階段だ


「降りるぜ」


壁に寄りかかっていた山本に促されてそこを下りていく
降りた先のドアを開け、エレベーターに乗り込んだ


「ここはボンゴレの重要な拠点として急ピッチで建造中だったんだ………
いまんとこ、6割方できてるってとこだな」


地下五階まで下りると、そこは工事中のフロアだった
その光景にツナは思わず感嘆する
しかしこれを作らせたのはツナだと山本は笑って言い、ツナをもっと驚かせた


「おい、あの装置は何だ?」


ラルの言葉に山本は前方を見て思い出すように言う


「ああ。メカニックのジャンニーニが作った
なんとかって物質を遮るバリアだそうだ」


すると、そのバリアを通ったラルが倒れてしまった
山本は深刻そうな顔をして彼女を見る


「おまえもだったのか…!」

「ど…どーなってんの!?」

「心配ない。環境の急激な変化に体がショックを起こしただけだ
ここは彼女達にとって外界とは違うつくりになってるからな」


少しすれば目を覚ますというラルを抱えた山本が一つのドアを開ける
その部屋に足を踏み入れたツナの耳に聞き慣れた声が入りこんだ





「おせーぞ」





視線を巡らせたツナの目に、椅子に座ったリボーンの姿が飛び込んできた
ツナは目を潤ませる


「ちゃおっス」

「………リ…リボーン…」

「だきしめて〜V」

「?」


「こっちよ!!」


「ふげ――!!」


椅子に座っていたのは偽リボーンだった
偽リボーンを見ていたツナの後ろから
ぴったりしたスーツを着た本物のリボーンがツナに奇襲をかけた
ツナは頭を抱えて蹲り悲鳴を上げた


「あでででで!!」

「大丈夫っスか!?」

「後頭部に土ふまずがフィットしたぞ」


飄々と言うリボーンにツナは号泣して叫ぶ


「な!!なんなんだよ!!このふざけた再会は!!
こっちは死ぬ思いでおまえを探してたんだぞ……!!
またヘンなカッコして!!」


しかしリボーンの姿を見て安心したのも事実だった
リボーンの無事にホッと胸を撫で下ろす
リボーンは泰然と言った


「しょーがねーだろ?このスーツを着てねーと体調最悪なんだ
外のバリアもオレのために作らせたんだしな」

「!?どういうことだよ」

「オレにはキビしい世の中ってことだ」


深刻なリボーンの話に疑問を覚える
だが、ツナはそれよりまず差し迫った問題をリボーンに打ち明けた


「そ…そーだ!おかしいんだよ!過去に戻れないんだ!」

「それくらいわかってるぞ。おかしいところはそれだけじゃねーしな
10年バズーカなのにこの時代は撃たれてから9年と10か月ちょっとしか経ってねーんだ」

「え…!?」


きっかり10年後ではなかったのだ
困惑するツナと獄寺にリボーンも何とも言えない表情だ


「なんでこんなことになっちまってんのか、オレにもさっぱりだ」

「そんな…」

「やっぱりリボーンにもわからないんだ」


しかしわからない事ばかりではなかった
この土地が何処なのかは分かっているらしい
リボーンに促され山本がモニターに土地を映す


「これが地上だ」

「暗くてよく見えねぇ…」

「こいつは見覚えがあるはずだぜ」


そしてモニターに映ったその建物にツナと獄寺の目が見開かれた
暗くても分かる、その文字





「なっ並中――!!?」





そう。ここは日本で、しかも並盛だったのだ



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