夜空を纏う四ノ姫3

□合流
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「……よかった。戦闘にならなくて……」

「……ええ………貴方たちが桜に勝てるはずがないもの………」


肩を落とすビアンキ。フゥ太の表情も険しい
固唾を飲むツナたちを見て、目を伏せた


「桜姉は強いよ、本当に……
Aランク以上の隊長で、白蘭に頼りにされてて……
それにボンゴレを……裏切る前から………
《殲滅姫》って呼ばれるようになって有名だったんだ………」

「(そんなに…………でも、桜……なんで………)」


悲しそうに表情を曇らせるフゥ太にツナの顔も歪む
するとビアンキがポケットから何かを取り出し、ツナの前に広げた


「ツナ。これを見て」

「え………これは………写真………?」


ツナの前に広げられたのは2枚の写真
ツナはそれを手にとって良く見る

生真面目そうな眼鏡の男と、人懐こそうな金髪の男、というより少年
見覚えのない2人にツナは困惑の表情をビアンキに向ける


「これは…?」

「今、日本にいる桜が指揮してる隊の隊員よ」

「!!」

「桜姉の隊は少し特殊らしくて、人数が極端に少ないんだ
ただ、何人かが他の隊に出向してるらしくて
この2人が入江正一の部下になってるみたいなんだ」


フゥ太が指を眼鏡の男に向ける
ビアンキが睨みつけるようにしてその男を見た


「この男は手塚国光よ。桜の腹心らしくて、隊のNO.3」

「かなり頭のキレる人で、入江正一にもかなり重宝されてるみたいなんだ

でも今はそれより、こっちの人の方が問題なんだ」

「問題って……?」


深刻な顔つきのフゥ太は、その写真を指差した
意を決したように口を開き、固い声で言う


「この人も桜姉の部下で今は入江の下で働いてるらしいんだけど



名前を"忍足謙也"って言うんだ」



「忍足……謙也?」


その名前を聞き、ツナは目を丸くした
リボーンの目が剣呑につり上がる


「…忍足………」

「うん。あの人、忍足侑士さんと同じ名字なんだ
しかもね、もう一つひっかかるところがある」

「もう一つ?」

「うん。ツナ兄は覚えてる?
黒曜での戦いが終わった後の武兄の野球大会」

「あ、うん。覚えてるよ
確かそこで忍足さんたちと初めて会ったんだよね」


そう。転校してきた宍戸たちの知り合いで桜の友達
そこで初めて出会い、数回だがたまに会えば挨拶をする仲になったのだ

そう言えばフゥ太が険しい表情をする


「うん。じゃあこれは覚えてる?
あの時、忍足さんに従兄弟がいるって話をしてたこと」

「……イトコ…………?」


そんな話をしただろうか


ツナはえーっと、とその時を思い出した

確か








「野球バカの応援なんていらねーよ」

「なんや。仲悪いんか?」

「いや。侑士さんと謙也さんみたいなものですよ」

「………ならごっつ仲悪いやん」






「謙也っていうのは侑士の従兄弟でね
何かしら張り合ってるんだ
でも仲が悪いわけじゃなくて
ほら、喧嘩するほどって言うだろ?
まぁライバルみたいな存在だよ」









「あっ!!」


確かに、あの時忍足は謙也と言い、幸村が従兄弟だと言っていたのだ
ツナはバッとリボーンを見下ろした
リボーンも神妙な顔で顎に手を当てる


「忍足、か
確かに探してみれば日本にもいるんだろうが珍しい名前だしな
それに、名前も同じなら疑うには十分だぞ」

「うん。もしこの人が本当に侑士兄の従兄弟なら
侑士兄も、行方不明の人達も、ミルフィオーレに、桜姉の許にいるのかもしれない」

「そう………なんだ…………」


ツナは力無く項垂れた
桜が裏切ったのを間近で見てショックを受けた
そしてさらに追い打ちを掛けられた。そんな気分だ
越前も日吉も裕太も、ツナと敵対してしまったのか



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