夜空を纏う四ノ姫3

□合流
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「……その2人が入江の部下となれば
今現在、日本に桜の隊が集結していることになるな…」

「どういうことだ?ラル」


リボーンの問いかけに、ラルも懐から一枚の写真を取り出した
テーブルに乗せ、全員がそれを覗き込む


「桜の隊のことは我々も探っていたが、幹部級が10数人いることぐらいしか分かっていない
だが最近、隊の副隊長らしき人物を確認する事が出来た」

「本当?」

「ああ。沢田も先程会っている」

「さっき?」

「そうだ。桜とともにいたホワイトスペルの男。奴がそうだ」


写真の男は不思議なアイスブルーの瞳の端正な顔立ちの男
γを担いでいた男と話していた男だ


「その男は跡部景吾。桜の右腕だ
もう一人もブラックスペルだったが恐らく桜の部下で幹部
これで桜の隊の幹部連中が4人はいることになる」

「………実際はもっと多いかもしれないな……」


リボーンは眉根を寄せるが、それ以上にツナの顔色が悪かった
しかしリボーンは変に誤魔化さず、単刀直入に言った


「しっかりしろツナ
桜がいる以上、敵はもう10年前のお前達の存在を知っているぞ
奴らはボンゴレであるお前達を狩るために、血眼になってこのアジトを探しているはずだ」


あの冷たい目をした桜なら、確実に入江に言っているはずだ
そうなれば、さらにまずい状況になる
リボーンは言い聞かせるように言う


「このヤバイ状況の中を生き延びて日本支部の入江正一を倒せるかどうかは



お前達が短時間にどれだけ強くなれるかにかかっているんだぞ」



「(短時間に強く…)
でもリボーン……桜は……」

「確かに桜はオレ達の仲間だからな…
戦いたくないっていう気持ちは分かるぞ」


神妙な表情でツナを見つめたリボーン
ツナの動揺は多かれ少なかれ全員が感じていることだ
だが、それをおくびにも出すようなことはしない
リボーンはスッと鋭き目つきになった






「でもな、桜が敵としてオレ達を見ている以上戦わなくちゃいけねぇぞ





過去に戻りたかったらな」






突き放すような言葉にツナの表情が強張る
ギュッと拳を握った


「!!でも……」

「甘ったれるな沢田
今の桜は、昔の桜じゃないんだぞ!!!」


ラルの叱責がツナの心を抉る
苦渋に満ちたツナの顔を見て、リボーンはしかしニッと笑った


「いいじゃねぇか
10年前に戻ったらこんなことがないようにすりゃあいいんだ
今は大事なことを見失っちゃいけねーんだ」

「リボーン……」


低いリボーンの声にツナも唇を引き結ぶ
しかしリボーンは一気に空気を軽いものに変えてしまった
内容は軽いものではなかったが


「ただ、桜の戦闘力は10年前の時点で俺と同じぐらい高いからな
この短期間じゃ勝てねーな」

「オイッ!!」


あっけらかんに言い放ったリボーンにツナが渾身の力を込めてツッコむ

しかし黙ってやり取りを聞いていたビアンキが思い出したように声を上げた


「いえ、そんなことはないかもしれないわ」

「ビアンキ?」


怪訝な顔をしたツナにビアンキは言葉を選ぶようにして視線を彷徨わせる


「あの子ね、よくわからないんだけど、弱くなる日があるのよ」

「弱くなる日?」

「どういうことだ?」


リボーンもツナも怪訝な顔だ
ビアンキはやはり視線を彷徨わせる


「みんなには上手く隠してたみたいなんだけれどね
部屋から全く出ない日とか、あまり顔色が良くない時があったの
そういう時は怪我をしたりしてたわ」

「えっ?顔色が悪いって、何かの病気とか?」


心配そうに聞くツナにわからない、とビアンキは首を振った
草壁も思い出すようにして言う


「そういえば先程も時期が良くないと言っていましたし
それにどこか顔色が悪そうに見えました」

「………確かに」


どこか焦っているようにも見えた
簡単に引き下がったのも気になる


「なんにせよ、強くならない事にはなんにも始まらねぇ」


リボーンがそう言い、ツナはハッとして目に力を入れた
フゥ太が優しそうに笑う


「守護者の情報収集は僕らがするよ
だからツナ兄は自分の修行だけに専念してよ!」

「私が来たからには家事と京子達のことはまかせなさい
あの子達に惨めな思いはさせないわ」


仲間の力強い言葉に、ツナは顔を綻ばせた
手を握り、頷く


「!!みんな……………ありがとう。そうする」




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