頂を目指す二ノ姫W

□2日目E
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『Io ero inconscio ,anche.
(私も無意識だったんだけどね)





Io fallii.
(失敗したわ)』





空気が固まった
赤也や丸井、鳳は口を開き、リョーマや真田も目を軽く瞠る


「……は?」

「へ…………え?」

「な、何の呪文っスか桜先輩」


遂には乾汁の餌食になっていた菊丸と桃城も復活し、唖然としていた
困惑する彼等に桜は肩を落とす
こともなげに言った


『イタリア語よ。小学生の時にちょっと勉強してね』

「……ちょっとでこんなに喋れんのかよ………」

「桜だし、アリなんじゃね?」


宍戸と向日が小さな声でそう言い合う
真田は感心したように腕を組んだ


「小学生からか。勉強熱心だな
英語も得意だというし、流石桜だな」

『ありがとう
まぁこれに関しては趣味というかなんというか……
勉強って感じじゃないし』


ほとんど趣味だ、と言うと柳が口を開いた


「しかし、お前がイタリア語を喋れるとは知らなかったな……
英語だけでも凄いと言われる時代だ
3カ国語とは恐れ入る」

『(3カ国語じゃないけどね……)』


しかし面倒になると口を噤んだ
驚いていた赤也や鳳は興奮したようにはしゃいでいる
菊丸と桃城も歓声を上げていた


「すっげぇ桜先輩!!」

「なんでも出来るんですね、本当に!!」

「さっすが桜だにゃぁ!!」

「尊敬するっス桜先輩!!!」

『なんでもじゃないけど、うん。ありがとうみんな』


にっこりと微笑めば、赤也が感極まったのか桜に抱き付いた
それに向日や宍戸、丸井が声を上げ真田の眉間にしわが寄る

桜は突然の抱擁よりも、赤也の体温に驚いた


『ちょっ、赤也!なんでこんなに熱いの!?』

「へっ」


キョトンとして桜から離れた赤也
桜は赤也の腕をとってしかめ面をした


『ほら。熱い。熱でも出したんじゃない?』

「ははっ。頭使ったから知恵熱でも出たんじゃねーのか?」

「なっ。赤也、たるんどる!!」

「ひぃっ」


鬼の形相の真田に赤也が縮みあがる
しかし桜の表情は険しい


『そんな簡単なことじゃないと思うんだけど……』

「……確かに熱いな。熱を計った方がいいかもしれないな」

「え、でも大丈夫っすよ、俺」

『でもこんなに熱いのに……』


心配そうな桜に赤也はニッと笑った
元気をアピールしているのか身体を動かす


「この通り健康体ですって
それに最近なんか身体熱いんで大丈夫っすよ!」

「いや、それ大丈夫なのかよ」


思わず向日がツッコむ


『そういえば、精市もそんなこと言ってたけど……』

「まぁ、辛そうでは無いな。早く寝れば治るだろう」

「そうだな。赤也。部屋に帰ってすぐに寝ろ」

「へーい」

「赤也!!」

「うぁ、はい!!」


おざなりな返事にキレた真田に赤也が背筋を伸ばす
桜はどこかもやもやした感情を抱えながらも、話がまとまったのでそれ以上の追及はやめた


こうして、2日目はようやく終わりの時を迎えた




→atogaki
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