夜空を纏う四ノ姫3

□ボンゴレの業
1ページ/5ページ




『……………』


あれから13日経った
今の所ミルフィオーレファミリーはボンゴレのアジトを見つけられないでいた
10年前のボンゴレ10代目たちが潜伏しているであろうアジトを


『(ボンゴレリングの反応もないし、カモフラージュリングの反応もない
おまけに人海戦術は意味ないし……)』


目ぼしい情報も無いまま時間だけが過ぎていく
桜は軽く下唇を噛んだ


「険しい顔してどないしたん?」


ソファに座る桜の前に立って、ホワイトスペルの金髪の男、忍足謙也が言う
ぎこちなく空けられた距離にどことなく苛立ちを感じ、
そのことにまた苛立って指を意味も無く動かした


『……正一はまだボンゴレのアジトを見つけてないのね…』

「ああ、せやなぁ
まぁあのボンゴレのアジトやで?
巧妙に隠されてんのやろ」

『…………分かってるでしょ?私の言いたいこと』


明らかに機嫌が悪い桜の言葉に謙也は眉を下げる
微かに苦笑いを浮かべた


「まぁ、な
アメリカにいないで日本のアジトを探ってれば良かった、って言いたいんやろ?」

『…………ええ
私も何を焦ってたのか知らないけど、一回も日本のアジトに行ったことなかったのよ
《こうなること》は分かってたんだから焦らなくても良かったのに……』


これも運命か


そう呟く桜に謙也は拳を握り締めざるを得なかった

桜はそんな謙也に気付かずに足を組み、苛立たしげに髪を掻き上げた


『……あ〜…………本当に嫌だわ』

「……随分荒れとんな。そんなに後悔しとんのか?」

『……………それもあるけど、もう一つ』


ぽつり、と桜が呟いた
謙也は目を瞬かせ首を傾げる


「?」

『歴代のボンゴレボスはね、ある試練を超えるの』

「……ある試練?」

『そう。この時代のボンゴレ10代目もその試練を受け、それを超えた
命の危機に晒され、限界に達した時に試される、本当の覚悟』

「……それを10年前の沢田綱吉が受けるっちゅーことか?
いくら何でも、まだ中学生に本当の覚悟を試すっちゅーのは」

『それをあなたが言うの?』

「………」


謙也は押し黙った
桜は息を吐き、目を細めた


『彼の傍には世界最強のヒットマンと守護者最強と謳われる男がいる
きっと、彼らは試練を受けさせるわ……』


きっとそろそろだ

あの忌まわしい記憶を、業を、彼が引き継ぐのかなんてどうでもいい
だが、一歩、彼は成長するだろう


沢田綱吉はきっと《彼》が待ち望んだボスだ


『…それが、イラつく…………』


目を剣呑に細める桜
謙也は何も言えず、立ちつくした
























ツナたちはそれぞれ家庭教師をつけて修業に臨んでいた
山本はリボーン、獄寺はビアンキだ

そしてツナは、何とラルの代わりに現れ突然攻撃を仕掛けてきた雲雀と戦う羽目になった
ツナは絶対的遮断力を持った雲の炎を混合した密閉球体
雲雀のハリネズミが出現させた球針態に囚われてしまった

徐々に酸素が薄くなり、ツナの意識が朦朧として来る
死ぬ気が解け、倒れたツナは手を手袋から取り出し、ボンゴレリングを見た
するとリングから光が放たれ、ツナの額にボンゴレの紋章が映った




.
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ