頂を目指す二ノ姫W

□3日目C
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「よっしゃー!!やってやるぜ!!」

「今日こそ終わらせるもんね!!」

『元気ね〜2人とも』


今日も今日とて宿題を消化する彼等
しかしかなり進んでいるのも事実だ
本当に今夜で終わるかもしれない
現に裕太とリョーマはもう終わらせていた
張り切る桃城と菊丸。そして赤也と丸井
桜は真田と柳の肩を叩く


『付き合ってくれてありがとうね』

「いや。それはこちらのセリフだ」

「ああ。桜は本当によくやってくれている」


しかも、日に日に参加者が増えている中、桜はひたすら彼らに教えていた
その姿勢は同学年として尊敬しかない


「精市も感謝していたぞ」

「ああ。しかもただ宿題をこなすだけではなく、身についているようだからな
次のテストが楽しみだと言っていた」

『……そう』


一度説明を受けた所はその後一度も聞く事がない赤也と丸井に、真田も柳も本当に感心していた
今までは何回も同じような所の説明をしていたのだ
逆に質問をしてみても、今までなら絶対に答えられずに真田の喝が入っていた
しかしスラスラとは言わないが正解を答えていたのだから彼女の説明は本当に分かり易かったのだろう
手放しに称賛され桜は困ったように視線をずらした
すると、ドアを叩く音がした


「よ、桜」

『あら、ジャッカル』

「お。樺地もいんじゃん」

「ウス」


顔をのぞかせたのはジャッカルと樺地だった
だが彼だけではなく、その後ろから人影が増える


「頑張ってるかい?」

「夜食を持ってきたよ」

「幸村」

「サエさん!」


手にサンドイッチを持って幸村と佐伯が朗らかに笑った
赤也と丸井が歓声を上げる


「お〜!!さっすが幸村君!!」

「ありがとうございます!!」

「赤也。まだ進んでおらんぞ!!」

『まぁまぁいいじゃない。夕食から時間経ったし
もう意識がそっちにいってるなら集中なんてできないだろうしね』

「……う…そう、だな」


渋々頷いた真田のお許しも出て、赤也と丸井は我先にと駆けていく
桃城や葵たちも飛びついた
それを微笑ましく見ていると幸村がはい、と手渡した


『わざわざありがとう』

「それ、跡部にも言ってあげるといいよ」

「そうだね。キッチン貸してくれたの跡部だしね」

「ウス」


頷く樺地に桜も礼を言った
宍戸は寝ているジローを小突きながら心底呆れた顔をした


「跡部の野郎………桜の事に関しては極端に甘くなるからな」

『ん?そんなことないと思うけど』

「いや!!絶対そんなとこあるぜ!!クソクソ跡部め!!」


熱くなる向日に首を傾げる桜
幸村と柳は同時に思った


「(桜って本当自分のことには無頓着だよね)」

「(自分への好意に気づいていない確率、95%)」

「(いや、あれは100%だよ)」


すると、樺地がぬっと桜に近づいた
手にはトレー。その上には湯気が立ち上る湯呑


「跡部さんから……です」

「ん?何だいそれ。お茶?」

「ウス…桜さんが…前に……飲みたがっていた……玉露……です」

『えっ』


驚いて樺地の顔をまじまじと見る
しかし彼がこんなことで意味のない嘘をつくはずがない
桜は困ったような笑みを浮かべた


『景吾……覚えてたのね……』

「というか持ってきたのかよ」


ジャッカルも呆れたように言った
桜は樺地から湯呑を受け取った
手に平から暖かくなり、ほんのり頬を持ち上げる
喉を通ったそれは深い味わいで桜はさらに頬を染めた


『………おいしい』

「跡部のことだから、最高級の茶葉なんだろうね」

「まぁ、それで桜があんなに喜んでるなら跡部も嬉しいんじゃないかな」


幸村と佐伯が口々に言った
それにようやくサンドイッチから離れた赤也が口をはさむ


「それにしては、跡部さん来なかったんスね
あの人のことだから桜さんに直接渡したいんじゃないっスか?」

「監督に呼ばれたんだってよ。な?」

「ウス」

『そうだったの…
景吾にはあとでお礼を言いに行くけど、樺地くんからも言っておいてくれる?』

「ウス」


樺地が頷いたのに笑い返し、桜はまた湯呑に口をつけた



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