頂を目指す二ノ姫W

□4日目A
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まるで葬式のようだ、と栞は思った
目の前には、殺人的飲み物で屍と化した選手たち


「ほら、せっかく外までおにぎりを作ってもらったんだ
しっかり食べなきゃだめだろう」

「全くだな。おら、しっかりしやがれ」

「そうだよ。みんな手が止まってるよ」

「(んで、あそこは元気だなぁ)」


栞はいつも通りの幸村、跡部、不二を見て苦笑した
ちなみに不二は例のごとく効かなかっただけなのだが、幸村と跡部は違う









「…向日…テメェが飲みやがれ!!!」





「丸井。まさか俺にこれ、飲ませる気じゃないよね?」









簡単に言えば、元凶に飲ませたからである
そのため2杯飲むことになってしまった向日と丸井は本当に屍のようだ

すると、栞は後ろから声をかけられた


「あの、栞先輩」

「ん?どったの朋香ちゃん」

「桜お姉さまはどちらにいらっしゃいますか?」

「ん〜?桜ちゃん??」


朋香の問われ、栞は周りを見回した
しかし桜の姿はどこにもない


「あれ、いないね〜」

「はい。この後の組み合わせとかお聞きしようと思っていたんですけど、見当たらなくて」

「うーん」

「桜さんなら、さっき洗濯機の方に行きましたよ」


すると杏がそう言った。栞は、ん?と首を傾げた


「たくさん洗濯物が出て、これだけ暑ければ乾くだろうからって」

「あぁ。そゆこと。OKOK。なら手伝いがてら行ってこよっかな」

「あ、なら私が行きます!!」

「いいっていいって
まだお昼ちゃんと食べてないんでしょ?しっかり食べときな〜」

「なら、俺様が一緒に行くぜ」


朋香たちに手を振ろうとした栞は、その声に思わずつんのめりそうになった
ばっと振り向けば跡部がいつも通り偉そうに立っていた


「あっれ?跡部君?」

「桜を探しに行くんだろう。俺様も行ってやる」

「いや別に頼んでないけど」


思わずそう言えば跡部は眉を動かした
不機嫌そうに栞の前に仁王立つ


「うるせぇ!俺様が一緒に行ってやるって言ってんだろ、アーン?」

「あ〜………わー!!ありがとう跡部君!!!」


面倒くさそうな顔をした栞だが、咄嗟に笑顔を作って跡部に言った
それは明らかな棒読みだったが、跡部は鼻で笑うだけだった


「(この人ホントにメンドいなぁ)」


思わず心の中でそう零した栞は、心配そうな朋香たちに手を振って歩き出した



























いつだって、それは後悔ばかりだった

そのたびに足が竦み

まるで地面が跡形もなく消え去るかのような感覚に陥る

己の無力を嘆くだけのそれは



ただの悪夢だ







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